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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円85円台が試金石!8月円高説鵜呑みは禁物?

ドル円が一時85円台に突入したことを受けて、日銀の介入操作が視野に入っているが、本邦輸出企業の決算が比較的好調なこともあり、一時ほどの円高警戒感は希薄になっている。また、政府及び日銀からも円安誘導に向けたコメントも控え気味であり、野田財務相は市場の動きを注意深く監視する中、単に円高というよりドル安が進んでいると発言しており、依然として、ドル円の下値懸念は払しょくされていない状況である。
市場のコンセンサスとしても、当局が何らかの円高対策を講じる期待感が増しているが、米経済の鈍化がより鮮明になれば、米政府がドル安容認姿勢を強める可能性もある。日銀としても、市場介入に早々に踏み切れない事情があり、現段階ではドル円85円割れを見ない限り、株価動向や債券動向を窺いながら、現状を見極めたい思惑が働いている。
他方、ユーロドルは米国経済の悪材料を背景にして、上昇基調を強めているが、スペイン・ポルトガルなどの重債務国の国債利回りが再び上昇過程にあり、1.3100や1.3150などの節目節目ではポジションを清算する必要性があるだろう。
補足的になるが、市場には米国債の償還月に当たるため、統計的には8月の円高説があるが、反面、ドル円は85円の正念場を迎えており、また、ユーロ円も下限レベルで推移している関係上、安易に8月円高説を鵜呑みにすることは禁物であろう。

●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2010年8月01日(日)

▲ドル円ユーロから見るドル円相場(ユーロドル⇔ユーロ円)
平均乖離幅0.0770 現状乖離幅0.1116→0.1202
A)100÷112.70=0.8873 B)1÷1.3036=0.7671(A−B=0.1202)
先週の強めの買いシグナル87.40から再び下落しており、今週も引き続き強めの買いシグナル86.45が点灯している。中期チャートにおいては、通常の買いシグナルが点灯しており、86円割れからの押し目買いに妙味が生じている。
(売りターゲット90.00〜92.00円)

▲ユーロドル(ユーロ円−ドル円)
平均乖離幅25.00円 現状乖離幅 25.45→26.25円
先週の売りシグナル1.2912から上昇に転じており、今週はやや強めの売りシグナル1.3036が点灯している。中期チャートにおいては、様子見から弱めの売りシグナルに移行しており、1.31前後からのナンピン売りに妙味が生じている。
(買いターゲット1.2500〜1.2600)

▲豪ドル(ドル円−豪ドル円)
平均乖離幅11.00円 現状乖離幅 9.05→8.20円
先週の売りシグナル0.8965から上昇を速めており、今週は強めの売りシグナル0.9051が点灯している。中期チャートにおいても、通常の売りシグナルから強めの売りシグナルに移行しており、現状レベルからのナンピン売りに妙味が生じている。(買いターゲット0.8600〜0.8700)

▲NZドル(ドル円−NZD円)
平均乖離幅25.00円 現状乖離幅 23.85→23.75円
先週の通常の売りシグナル0.7271から変化はなく、今週も通常の売りシグナル0.7253が点灯している。中期チャートにおいては強めの売りシグナルが点灯しており、0.7300台からのナンピン売りに妙味が生じている。(買いターゲット0.7000〜0.7100)

▲カナダドル(ドル円−カナダ円)
平均乖離幅2.00円 現状乖離幅 3.05→2.40円
先週の様子見1.0362から若干下げ足を速めており、今週は弱い買いシグナル1.0286が点灯している。中期チャートにおいては通常の買いシグナルが点灯しており、1.02割れから押し目買いに妙味が生じている。(売りターゲット1.0350)

▲ポンドドル(ポンド円−ドル円)
平均乖離幅45.00円 現状乖離幅 47.35→49.25円
先週の売りシグナル1.5418から上昇を速めており、今週は強めの売りシグナル1.5697が点灯している。中期チャートにおいても通常の売りシグナルから強めの売りシグナルに移行しており、現状レベルからのナンピン売りに妙味が生じている。(買いターゲット1.5000〜1.5100)

▲ドルスイス(ドル円−スイス円)
平均乖離幅8.00円 現状乖離幅 4.50→3.50円
強めの買いシグナルが継続する中、先週の強めの買いシグナル1.0543から下落しており、今週は強い買いシグナル1.0422が点灯している。中期チャートにおいても引き続き強めの買いシグナルが点灯しており、現状レベルからのナンピン売りに妙味が増している。(売りターゲット1.0900〜1.1000)

▲オセアニア通貨裁定取引
平均乖離幅14.00円 現状乖離幅 14.80→15.55円
豪ドルの堅調を背景に乖離幅がやや拡大している。中期チャートは依然として、様子見圏内にあるが、乖離幅16円台では豪ドル売り・NZドル売りが視野に入っている。過去の週間ごとの経緯は以下の通り。19.10→19.35→18.80→18.50→20.15→20.35→19.90→19.70→18.40→15.95→16.65→13.80→15.25→14.10→14.45→15.05→14.25→13.50→14.55→13.75→14.80→15.55円

▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円
2007年度平均279円、2008度平均は255.20円。2009年度第1四半期平均216円、第2四半期平均230.00円、第3四半期228円、4四半期223円。2010年度1月平均222.70円、2月平均213.90円、3月平均213.50円。4月平均219.40円、5月平均208.60円、6月平均201.85円、そして、7月第1週は197.95円、7月第2週は200.70、第3週は198.75円、第4週は200.25円、そして、今週はユーロ円112.70+ドル円86.45=199.15円と円高局面にあり、総じて、円売りの反転時期に直面している。 (目安*205円以下は円売り局面⇔220円以上は円買い局面)

★欧州3大通貨
▲ユーロポンド ユーロ円―ポンド円
平均乖離22.50 現状乖離幅 21.90→23.00円
先週の弱い売りシグナル0.8375から下落に転じており、今週はポジション解消買いに伴い様子見0.8305が点灯している。中期チャートにおいては買いシグナルが点灯しており、0.8200〜0.8500のレンジ相場を形成している。(様子見)

▲ユーロスイス ユーロ円―スイス円
平均乖離33.00円 現状乖離幅 29.95−29.75円
先週の買いシグナル1.3613から変化は見られず、高いレベルで買いシグナルが継続しており、今週も引き続き買いシグナル1.3586が点灯している。中期チャートおいては強めの買いシグナルが点灯しており、現状レベルからの押し目買いに妙味が生じている。(売りターゲット1.4000〜1.4100)

▲ポンドスイス ポンド円―スイス円
平均乖離55.50円  現状乖離幅 51.85→52.75円
先々週の強い買いシグナル1.6082から上昇を速める中、先週の強めの買いシグナル1.6255から更に上昇しており、今週は通常の買いシグナル1.6359が点灯している。中期チャートにおいては買いシグナルから様子見に移行しており、1.62割れからの押し目買いに妙味が生じている。
(売りターゲット1.6700〜1.6800)

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★本ペットチャートは3〜5段階の少な目からの分散投資戦略をお勧めします。尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なうようお願いします。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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