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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

G7・世界経済・FX相場→五里霧中?

7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)において、世界経済について「より困難で不確実な環境に直面している」と下ぶれリスクに沿った声明文では閉幕した。同時にサブプライムローン問題に対する各国の温度差が如実に現れたような声明文であるが、不透明なサブプライム問題の深刻さを改めて認識されられたG'7と言えるだろう。表面上は市場安定に向けて、各国中央銀行の手腕に託し、潤沢な資本供給を続行するしか良策がないであろうが、反面、世界経済の先行き懸念の打開策としては限界を感じさせる状況である。
各国中央銀行が市場安定に向けて、必要に応じた追加措置を取る姿勢を示しているが、金融機関に資本増強を促す程度であり、即効性に乏しく、具体性に欠ける状況には変化が見られない。今回のG7によって、サブプライム問題や原油価格の高騰に対して問題意識を共有したことは評価されるが、次なる打つ手が見えてこないほど、為替相場と同様に世界経済は五里霧中と言うのが正解なのかもしれない。

一方、中国を筆頭にした新興国、そして中東産油国による資本投下に依存する状況であり、世界経済における先進7カ国の立場が急速に低下していると言われる所以でもある。世界同時株安、原油価格の高止まり、そして、金融不安は世界各国の共通認識なだけに、まだまだ落ち着かない相場展開が余儀無くされるだろう。

ユーロ圏では景気減速懸念とインフレ懸念が同時発生しているため、現状では金利据え置き策にしか活路が見出せていないが、利下げの可能性は日々増しており、ユーロドルの上値の重さは否めない状況であろう。戦略的には米経済の後退観測が雇用および景況感においても確実に下ぶれを見せており、今後も利下げ観測が発生するであろうが、マーケットの先入観が今までの金利格差からクレジットリスクに焦点に変化しており、リスク回避を優先としたポジショニングとストップロスの配置が勝負のキーポイントになるであろう。ボックス相場と判断して、米ドルの戻り売りを勧めるが、同時にユーロドルの戻り売りにも妙味がある相場展開である。シカゴ先物市場においても、豪ドルのみが足早にロングを伸ばしているが、他の通貨はほぼ横並びであるように、投機筋の見通しも一進一退であり、それだけ難易度の高さを見せている相場展開とも解釈できる。いずれにしても、無理して参加する相場ではなく、当面は大きな動きを待ってからの始動を心掛けることが肝要である。
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今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2008年2月10(日)週末の終値ベース

米ドルの買い戻しの流れが全通貨に見られる。しかしながら、チャート上では未だに不十分なドルの上昇局面である。但し、サブプライム問題が浮上してからは、対米ドルとの相関係数が偏重をみせている通貨が急増しており、同時にドル安円安の連動性が顕著であったことで、対円との相関係数にも歪みが生じている。
サブプライム問題に続いて、モノライン問題が改めて指摘されたことで、相場がリスク回避優先のマーケットに化しているため、想定以上に上下にブレ易い状況を作り出している。 テクニカル分析用語で例えるならば、ストキャスティックやRSIなどのオシレ−タ−系のチャートが示す、売られすぎ、買われすぎの目安を適用することも一案である。2つの通貨ペアの乖離幅の罫線がクロスする事がポジション解消の定義ではあるが、戦略的には米ドルの戻り局面を70〜80%までに抑える柔軟性が必要である。今後は、ユーロドルがどの程度の調整局面に向かうかだが、本チャート上ではユーロドルの目標ターゲットは限りなく1.400に近いレベルを指しているが、先に記したように70〜80%の下落を見込めば、ユーロドルの当面の目安は1.42〜1.43レベルに位置している。一方、比較的安定した通貨は意外にもポンドであり、又、オセアニナ通貨のAUD/NZDの裁定取引も安定した動きを見せている。

新外為の森 US$チャート(ユーロドル⇔ドル円)ドル買い
『▲通貨別チャートを参照』各通貨ペアをクリックしてご覧下さい。
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅 0.0419→0.0468
1÷ユーロドル1.4515=0.6889(A)100÷ユーロ円155.75=0.6421(B)A-B=0.0468⇒ドル円107.35円
ドル円は106円台では底堅い動きを見せている。先週の強い買いシグナル106.80に引き続き、今週も強い買いシグナル107.35円が点灯している。(売りターゲット112.50〜113.00) 

ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅40円 現状乖離幅 51.15→48.40円
1.48台から急落を見せているが、先週は強い売りシグナル1.4798から一時は1.44台まで突入しているが、未だに不充分な下げ局面であり、今週も強めの売りシグナルが1.4515で点灯している。 (買いターゲット1.4100〜1.4200)

豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅20円 現状乖離幅 10.20→11.30円
0.90台では強い売りシグナルが点灯しているが、比較的サブプライム問題の影響が少ないだけに、高いレベルで推移しているが、先週の強い売りシグナル0.9043に引き続いて、今週も売りシグナル0.8947が点灯している。(買いターゲット0.8250〜0.8300)

NZドル(ドル円−NZ円)平均乖離幅32円 現状乖離幅 22.00→22.80円
総じて値動きは激しいが、豪ドル次第の相場展開であり、現状では0.800には届かずに失速している。先週の強い売りシグナル0.7936に引き続き、今週も強い売りシグナル0.7876が点灯している。(買いターゲット0.7200〜0.7250)

カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅10円 現状乖離幅 −0.65→−0.05円
この数週間はパリティ1.000前後の攻防が続いているが、パリティ割れでは買いシグナル、1.0300レベルでは売りシグナルと以前のようなカナダドルの強さは見せていない。先週の買いシグナル0.9939に続いて、今週は買いシグナル1.0000が点灯している。(売りターゲット1.0250〜1.0300)

ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅110円 現状乖離幅 102.95→101.55円 
1.98台では強めの売りシグナルが点灯していたが、先週の弱めの売りシグナル1.9658から、今週はポジション解消レベル1.9460の買いシグナルが点灯し、主要通貨の中では唯一様子見に突入している。(様子見)

スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅20円 現状乖離幅 8.75→10.00円
さすがに1.100割れでは根強いドル買いが散見されるが、先週の買いシグナル1.0894に引き続いて、今週も強い買いシグナル1.1027が点灯している。(売りターゲット1.1950〜1.2000) 

オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅10.00円 現状乖離幅 11.80→11.50円
相対的に相場は乱高下が生じているが、オセアニア通貨同士での乖離幅は今まで以上に安定した動きである。今週も先週に引き続き様子見の域を脱しておらず、10〜13円の乖離幅での売買シグナルでは妙味の乏しい状況である。現状の目安では10円割れと14円台の乖離幅が必要であり、様子見を継続中。(過去5年間の乖離幅レンジは4.00〜18.15円 11月4日に18.15更新)
*注(クロス円の売買には円相当額を一致させること。またはAUD/NZD売りの直接取引)

単純加算方式 ユーロ円+ドル円(265円以下は円高⇔275円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円と着実に円安方向へ。今年度は1月平均は266.31円。先週は263.55と円高傾向が顕著に見られる。今週は155.75+107.35=263.10と円高局面を維持している。260円割れからの円売りに妙味がある。

欧州3大通貨ペア 
ユーロポンド 平均乖離70円 現状乖離幅 52.15→53.15円
ユーロドルの軟調地合と共に、ポンド自体は強含みを見せているため、先週の売りシグナル0.7528より弱冠下げているが、今週も引き続き売りシグナル0.7456が点灯している。当面の目安としては0.72割れではロング、0.75台ではショートのイメージが必要。
(買いターゲット0.7200〜0.7250)

ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 59.90→58.40円
スイスフランの軟調が続いているが、それ以上にユーロドルの下げ局面であり、先週の買いシグナル1.6122から、今週は更に強い買いシグナル1.5999が点灯している。(売りターゲット1.6250〜1.6300)
ポンドスイス 平均乖離132円 現状乖離幅 111.70→111.55円

ポンドが利下げ効果により、弱含みを見せており、相対的にスイスフランの堅調さが生じている。先週の強めの買いシグナル2.1415に引き続き、今週も買いシグナル2.1459が点灯している。
ポンドの利下げ効果により、弱含みを見せて折、相対的にスイスフランの堅調さが生じている。先週の強めの買いシグナル2.1415に引き続き、今週も強い買いシグナル2.1459が点灯しているて。(売りターゲット2.2600〜2.6500)

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★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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