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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

円キャリー再燃には厳しい円安レベル。

先日、長女から今秋に結婚式を挙げると吉報が舞い込んで来ました。そして、その前に彼氏を紹介したいと嬉しい報告もあり、世の父親と同様に複雑な心境ですが、既に孫もいる友人の言葉がよぎりましたね。”黙っていても子は育つ”少々訳ありで、娘とは実際に会うのは彼女が大学を卒業して以来、10年ぶりのご対面です。それが将来の旦那さまと一緒に会うとなると、盆と正月が一緒に来た感があります。為替でいえば、120円で買って、未だ来ない125円で売リ抜けた瞬間ですかね。
来週7月7日(土)にはFOREX RADIOの300回記念が開催されますが、ここでも昔の友人とも久しぶりに再会できる楽しみにしております。

▼注目されたFOMCは予想通りの結果『据え置き』で終了したが、その後の声明文も内容的には想定範囲であり、新鮮味が見られず、為替相場への影響も限定的であった。
FOMC声明文は今後のインフレ動向を注視する姿勢には変わらないが、住宅関連の減速懸念とサブプライム問題がある以上は、利上げ観測が浮上するには時間を要すると観るべきであろう。結果的には現状維持が精一杯の金融政策であり、利下げもできないが、利上げも出来ないのが今の米連邦準備制度理事会(FRB)である。いずれにしても米ドル離れと米ドル回帰の狭間でもあり、利上げの余地を残した金融政策とは言いながらも、8ヶ月連続の据え置き金利に示されるように、米経済の不透明さを象徴している足取りである。 ソフトランディングが成功裡に終わるには利上げが現実的にならなければならず、未だに道半ばと言えるだろう。

▼市場はFOMCを無事通過したことにより、再び円キャリートレードに関心が寄せられており、円売りの態勢を整えることになるが、既に米ドルが円を除く他の通貨には米ドル安が浸透しており、クロス円主体による円キャリートレードに警戒心も浮上している事は否めない。反面、円キャリーを促進させるには、ヘッジ機能も兼ねて、米ドル主動の円キャリ−も想定されるだけに、ドル円が再び上昇を見せた時には要注意である。当面は124円前後までの円安プロセスに注視したい局面である。現状では緩やかな円安と突発的な円高をイメージしたトレードが有効であり、特にドル円が124円前後までに上昇した際には、ストップロスを有効的に取り入れることを勧める。

本日は半期末の最終日でもあり、経済指標は目白押しであるが、逆に争点が絞りきれないだけに、現状のレンジ幅の推移で見守ることが正解であろう。市場全体も月末を挟んで積極的な売買は控えている模様。最終調整の狼狽的な売買を意識して臨むことが賢明であり、123円割れの買いと123円台半ば以上の売りで様子見を勧める。ユーロドルに関しても基本はレンジ幅での売買を勧めるが、原油価格が夏場を迎えるにあたり、再び70ドル台に突入しており、世界的なインフレ懸念の高まりとECBの利上げが視野に入るだけに、下値堅調と見るべきであろう。1.34前後の買いを勧めると共に1.35前後の売りで様子見を勧める。

●クロス円は円キャリーによる上昇期待を安易に考えるには、リスク拡大にもつながるだろう。基本的には、もう一段の上昇を待ってからの売りを勧めるが、ナンピン売りシナリオを持って、今の相場に対抗することも一案である。ユーロ円166円台と豪ドル円105円前後からのナンピン売りであれば、リスクは限定的と判断する。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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