米ドルの迷走相場⇒FRB議長も迷走中か?
先週はユーロドルが史上最高値を更新し、1.37台を目指す展開も考えられたが、ユーロ円も163円台のユーロ史上最高値を付け、明らかに米ドル安と円安の影響を感じさせる相場展開である。ポンドが2ドルを突破した時点から、再度米ドル安の兆候があるが、1992年9月以来約14年半ぶりのポンド高となると、さすがに米ドル売りも一段落する状況である。しかしながら、利下げ観測が一時的にも遠のいた米経済ではあるが、来週5月9日のFOMCに向けては、インフレ警戒を楯にして、弱みを見せたくない米国としては、米ドルの利上げ観測も視野に入れることも可能なだけに、米経済の不透明と同様に米ドルの迷走がしばらくは続きそうである。
▼現段階では、米経済が住宅関連の低迷を除けば、米経済の衰えは確認されておらず、むしろ景況感さえある市場である。 そして、米株式市場が史上最高値を更新しているように、俗に言うスタグフレーションの世界に突入している。『景気停滞を意味する「stagnation」とインフレ「inflation」が合成された言葉で、景気停滞下でのインフレ状態を意味している』
FRBの金融政策の舵取りも暗礁に乗り上げている可能性もあり、現状維持の据え置きが精一杯の感が強いが、本日のバーナンキFRB議長講演の発言を含め、米経済の状況を再確認する状況下では、米ドル売りに強く反応する相場と判断するが、大勢としては週末の米雇用統計に集約されるため、小波乱を想定し、レンジ幅を通常よりは拡大して臨むしか良策はないだろう。いずれにしても、米ドルショートが膨らんでおり、更なる米ドル売りの展開では、相対的に円安に追い討ちをかける状況を生み出す可能性もある。クロス円相場のピーク感がある以上は、難しい選択を余儀なくされるマーケットであり、今後の難易度を考えても、ポジションを縮小して対応することが賢明であろう。
▼シカゴ通貨先物(投機筋)の円ショートは若干増えてはいるが、相変わらずユーロのロングが111,282枚と無気味な水準で推移している。不透明な米経済とは言いながらも、米ドルインデックスでも米ドル安の状況がピークを示しており、一触即発のムードも隠せない状況である。流れは米ドル売りであるが、更に米ドルショートを新規構築する段階でもなく、下値リスクを考慮した戦略に妙味があるだろう。もう一段の米ドル売りを待ってからの米ドルロングに期待するが、レベル的にはユーロドル1.37前後の売りとドル円118円台半ばを待ってからの米ドルロングを勧める。
●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2007年4月29日(日)週末の終値ベース
米ドルは対円を除けば、総体的に米ドルの弱さが顕著に見られる。流れ的にはもう一段の米ドルの軟調地合もあるだろうが、チャート上ではユーロドル1.37とポンド2.00前後が米ドルの転換期になる様相を示している。 先週に引き続き今週も米ドルの売られすぎの傾向が強い相場であり、あえて米ドルショートを拡大する局面ではないと思われる。一方、円に焦点をあてると、円キャリートレードに対する円安警戒もドル円120円を意識すると、単独では円売りが加速する状況ではなく、NYダウが史上最高値を記録している状況下でもあり、米ドル売りと円売りを重ねるリスクが増大している。特にユーロ、ポンド、そしてオセアニア通貨などの通貨に対しては、今週は米ドルの反動期待が高まるレベルまで到達している。現状からの米ドルと円のナンピン買いであれば、リスクはかなり減少する方向にある。
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●新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱関係⇒米ドル買い継続
▼ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)ユーロから見るドル円相場)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1159⇒0.1198
先週の弱い売りシグナル118.70から、今週は通常の売りシグナル119.55が点灯している。もう一段の上昇を見てからの売り120円台からの売りであればリスク限定となり、現状からのナンピン売りも視野に入れて臨むことが可能である。今週の乖離幅の試算=?1÷ユーロドル1.3651=0.7325?100÷ユーロ円163.20=0.6127⇒(0.7325−0.127=0.1198)=ドル円119.55売り。過去週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。0.1133(116.50売り)→0.0958(114.00買い)→0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買いclose)→0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55買いclose)→0.1314(119.65売り)→0.994(115.85買いclose)→0.1370(121.50売り)→0.1093(116.85買い)→0.1180(118.30売りclose)→0.1072(116.65買い)→0.1154(118.10売りclose様子見)→0.1085(117.80様子見)→0.1207(119.25売り)→0.1159(118.70弱い売り様子見)→0.1198(119.55売り)
▼ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅33円 現状乖離幅42.60⇒43.65円)
先週の強い売りシグナル1.3589から、一時は史上最高値を更新しており、今週もかなり強い売りシグナル1.3651が点灯している。過去週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.2729売り→1.2510買いclose→1.2875売り→1.2511買いclose→1.3095売り→1.3335売り→1.2875買いclose→1.3192売り→1.3318売り→1.3285売り継続→1.13355売り継続→1.3375売り継続→1.3536売り→1.3589売り
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅(19.30→20.35円)
先週の強い売りシグナル0.8374から、今週は弱冠値を下げているが、未だに強い売りシグナル0.8298が点灯している。0.84台では損切りのシグナルも点灯する。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7318買い→0.7676売りclose→0.7420買い→0.7509売りclose→0.7887売り→0.7787買いclose→0.7898売り→0.7737買いclose→0.7750買い→0.7872売りclose→0.7917売り→0.7810買いclose→0.7964売り→0.8048売り→8090売り継続→0.8164売り→0.8335売り→0.8374売り
▲NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅38円 現状乖離幅30.00⇒30.80円)
先々週の売りシグナル0.7203から、急上昇を示しているが、先週の売りシグナル0.7370に引き続き、最終段階の売りシグナルが0.7473で点灯している。0.75台では損切りを実施することになるが、豪ドルと同様に再度売りの状況も一考することを勧める。
過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6179買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6680売りclose→0.7046売り→0.6876買いclose→0.6828買い→0.6975売りclose→0.7066売り→0.7117売り継続→0.7152継続→0.7203売り→0.7370売り
▲カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅15円 現状乖離幅13.05⇒12.45円)
先週の買いシグナル1.1235に引き続き今週も1.1162の買いシグナルが点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。1.1195買い→1.1258売りclose→1.1379売り→1.1262買いclose→1.1195買い→1.1297売りclose→1.1725売り←1.1802売り→1.1855強い売り→1.1719売り→1.1627売り→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1613売り継続→1.1538売り継続→1.1516売り継続→1.1379買いclose様子見→1.1235買い
▲ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅15円 現状乖離幅−0.25⇒0.25円)
ドル円119.55x2=239.10−ポンド円238.85=0.25円
先週は2.00台に乗せ、2.0021の強い売りシグナルが点灯していたが、今週は弱冠の下げを見せているが、依然として1.9979の売りシグナルが継続点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは下記の通り。
1.9808売り→1.9291買いclose→1.9736売り→1.9499買いclose→1.9636売り→1.9105買いclose→1.9435売り→1.9324売り継続→1.9615売り→1.9686売り継続→1.9656売り継続→1.9870売り→2.0021売り。
▲スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅19.95→20.40円)
先週の買いシグナル1.2081から、今週も引き続き強めの買いシグナル1.2057が点灯している。過去数週間の売買シグナルは以下の通り。1.2491買い→1.2533売りclose→1.2093買い→1.1933買い→1.2354売りclose→1.2532売り→1.2478買いclose→1.2364様子見→1.2166買い→1.2349売りclose→1.2069買い→1.2194買い継続→1.2151買い→1.2225買い継続→1.2145買い継続→1.2081買い継続
★豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅10.70⇒10.45円)
乖離幅の数字はほぼ変わらず、 先週は弱い豪ドル円売り/NZ円買いの状況であったが、今週はポジション解消の段階でもあり、再び様子見レベルに達している。過去の週間ごとの乖離幅は以下の通り。 注意点*クロス円の売買には円相当額を一致させること、または豪ドル/NZドルの直接取引
9.30→11.80→16.00→13.00→15.35→16.00→15.40→14.90→17.10→15.40→13.90→10.55→9.90→12.25→10.85→9.95円→10.80←11.20→11.45→9.40→11.30→11.40→10.70→10.95→10.30→10.95→10.55⇒11.45→11.00→11.05→11.45→11.50→10.70円
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高&275円以上は円安の目安)
過去の月平均は2006年度2月258.80 3月257.83 4月260.42 5月255.44 6月259.28 7月262.43 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 11月268.68、12月273.05円。 2007年度1月275.78円 2月278.66円(2月末はドル円121.00+159.35=280.35円の円安記録)3月平均は272.8円と円高傾向。4月からは275.15、278.75、先週は280円の円安に到達しており、今週はドル円119.55+ユーロ円163.20=282.75円と超円安レベルに達している。依然として、円キャリートレードと米ドル安が顕著であり、要警戒レベルに達している。
● 欧州通貨ペア
▲ユーロポンド『平均乖離70円 現状乖離幅76.35⇒75.65円』
先週の0.6787の売りシグナルに引き続き、今週も0.6833の売りシグナルが点灯している。過去数週間の売買シグナルは以下の通り。
0.6818売り→0.6737買いclose→0.6795売り→0.6735買いclose→0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567買い→0.6590売りclose→0.6787売り→0.6859売り→0.6773売り継続→0.6785売り継続→0.6805売り継続→0.6812売り継続→0.6833売り継続
▲ユーロスイス『平均乖離54円 現状乖離幅63.05⇒64.05円』
先週の弱い売りシグナル1.6417から、今週は1.6459で様子見が点灯している。週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.5811売り→1.5607買いclose→1.5815売り→1.5905売り→1.5945売り→1.5835買いclose→1.5901様子見→1.6088様子見→1.6253様子見→1.6195売り⇒1.6073買いclose→1.6200様子見→1.6230様子見→1.6351売り→1.6439売り→1.6417買いclose弱い売り
▲ポンドスイス『平均乖離35円 現状乖離幅41.15⇒40.55円』
先週の買いシグナル2.4187に引き続き、今週は2.4089で買いシグナルが点灯している。ポンドスイスのキャリ−レードの様相である。過去の数週間の売買シグナルは以下の通り。
2.2621買い→2.3340売りclose→2.3495売り→2.3200買いclose→2.3615売り→2.3372買いclose→2.4645売り→2.4489買いclose→2.4566売り→2.4326買いclose→2.4208買い→2.4235売りclose→2.3644買い→2.3862売りclose→2.3435買い→2.3918買い→2.4029買い継続→2.4131買い継続→2.4187買い継続
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
★ 本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。HPより各通貨別のチャートをご覧いただけます。
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