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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

利上げ実施でも米ドルの下げは限定的、118.50円までか!

●21日の日銀金融政策決定会合を控えて、今週もナーバスな展開が避けられない情勢である。 本日はNY市場が休場であることから、とりあえずは、本邦の利上げ観測に向けてのシナリオ作りが優先される相場である。先週は本邦第4四半期GDPの好結果から、一気に利上げムードの高まりを見せてはいるが、既にドル円119円割れを垣間見た市場でもあり、118円台からの下値の強さと同時に、120円台からの上値の重さを確認した状況でもある。日を追うごとに過熱感は減退気味と言えるかもしれないが、先ずは利上げシナリオに沿って取り組むことが賢明であり、政策金利の結果発表までは、ストップロスを120円前後には置きながら、円ロングにポジションを傾けて模様眺めに徹することが賢明であろう。
●一方では、0.25%の利上げが実施されたとしても、単発的な利上げになる公算も高く、今後の連続的な利上げが強調されなければ、円安シナリオを変更できない難しさがある。仮に利上げ実施後に、連続的な追加利上げの可能性も年内に一度あるかないかの状況を踏まえると、1%に満たない金融情勢となると、日本発の材料だけでは円買いが加速する状況でもないだろう。 最終的には円高への援護射撃には人民元の切り上げが必要になる見解は捨てきれない。いずれにしても、利上げのあるなしにかかわらず、118.50~120円のレンジ幅の域を脱する難しさに直面している相場であり、短期的には上記レンジ幅の売買に専念することが一考であろう。
●先のG7以来、欧州勢からの円安問題が引き続き問われているが、視点を変えて、円の総合的な評価を見極める時期でもある。一応、為替の強さを測るには日銀が毎月発表している「実質実効為替レート」も参考にはなるが、1973年を100とした計算方式に疑問は隠せないが、円安の比重が対米ドルではなく、過剰な円キャリートレードが他の通貨に拡大しており、特に欧州通貨とオセアニア通貨に向けられている割合も高いため、米ドルを軸とした実質実効為替レートでは適正水準を見極める難しさはある。補足になるが、実質実効為替レートとは各国との貿易バランスを軸に物価上昇率も取り入れた算出方法でもあり、大局的な相場の目安とはなるが、日本経済のデフレ懸念が物価上昇を抑えていることも、円安を助長させ、更に金利格差による円キャリーの拡大が生じたことが相場の歪みを形成しているため、数字自体を安易に鵜呑みには出来ないとも言える。現段階の円安進行が米国以上にユーロ圏に拡大しており、明らかに貿易不均衡の裾野が広がっており、今回の利上げ実施による効果も限定的になる可能性はある。根本的な貿易不均衡是正には遠く及ばないと思われるが、円安是正の第一歩が踏み出される兆しもあるが、ユーロ円高の調整売りも視野に入る段階でもあり、同時にユーロドル1.3200以上の高値追いには注意を払いたい相場である。日銀の金融政策を見極め、今後のシナリオ作りに専念する週と言えるだろう。

***今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)****
作成年月日 2007年2月18日(日)週末の終値ベース

先週は円安から円高に方向転換した相場展開ではあるが、円高への調整局面と共に、米ドル自体にも売られすぎの兆候が見られ始めている。主要3大通貨のバランスとしては、依然として、ユーロが高値圏をキープしており、上値を追う展開ではない。一方、米ドルは円に対しても弱含んではいるが、ドル円118円台の声を聞けば、ニュートラルなレベルに遭遇する。相対的にも米ドルの下値も限定的な相場になりつつあり、米ドルショートを慎む状況である。
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱⇒米ドル弱めの売り
ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1227←0.1371)
先週の強めの売りシグナル121.70円から、今週も引き続き弱めの売りシグナル119.35円が点灯しているが、一部買戻しも検討。ポジション解消レベルは118円台50〜80。
今週の乖離幅の試算=ユーロドル1.3142=ユーロ円156.85→(0.7609−0.6382=0.1227) 過去の週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。
0.1234(116.60売り)→0.0870(113.80買いclose)→0.1133(116.50売り)→0.0958(114.00買いclose) →0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買いclose)→0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55買いclose)→0.1314(119.65売り)→0.994(115.85買いclose)→0.1308(120.35売り)→0.1370(121.50売り)→0.1345(121.10売り)→0.1371(121.70円売り強め。(一部買戻し119.35円)
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅30円 現状乖離幅37.50←36.60円)
先週は弱い売りシグナル1.3007であったが、今週は早々と通常の売りシグナル1.3142が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.1940売り→1.1878買いclose→1.2045売り→1.1911買いclose→1.2190売り→1.2030買いclose→1.2269売り→1.2096買いclose→1.2729売り→1.2510買いclose→1.2875売り→1.2511買いclose→1.3095売り→1.3335売り→1.3081売り継続→1.3202売り継続→1.3005売り(一部買戻し)→1.2875買いclose→1.2964弱い売り→1.3007弱い売り
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅(25.40←27.20円)
先週の弱い買いシグナル0.7765から、途中経過ではポジション解消売りにも達したが、今週は売りシグナル0.7822が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7318買い→0.7676売りclose→0.7537買い→0.7420買い→0.7509売りclose→0.7887売り→0.7787買いclose→0.7835売り→0.7898売り→0.7737買いclose→0.7750弱い買い
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅38円 現状乖離幅36.10←38.60円)
先週の弱い買いシグナル0.6828から、今週は早くも売りシグナル0.6975が点灯している。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6082買い→0.6422売りclose→0.6179買い→0.6395買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6615売りclose→0.6530買い→0.6680売りclose→0.7046売り→0.6876買いclose→0.6963様子見→0.6828買い
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅14円 現状乖離幅16.70←17.85円)
先々週の強い警戒売りシグナル1.1855、先週は1.1719の売りシグナル、そして今週も引き続き売りシグナル1.1627が点灯している。過去週間ごとの売買シグナルは下記の通り。1.1099買い→1.1376売りclose→1.1088買い→1.1298売りclose→1.1195買い→1.1258売りclose→1.1379売り→1.1262買いclose→1.1195買い→1.1297売りclose→1.1578売り→1.1725売り←1.1802売り→1.1855強い売り→1.1719売り。
ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅20円 現状乖離幅5.90←6.10円)
ドル円119.35x2=238.70−ポンド円232.80=乖離幅5.90円
先週はポジション解消の買いシグナル1.9499に達したが、今週は弱めの売りシグナル1.9506が点灯している。達している。 
過去数週間の経緯は以下の通り。1.9808売り→1.9553売り継続→1.9597売り継続→1.9300一部買戻し→1.9291買いclose→1.9736売り→1.9601売り弱め→1.1966売り。
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅22.70←24.15円)
先週の様子見レベル1.2476から大きな変化は見られず、先週と同様に1.2364の様子見である。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.1981買い→1.2432売りclose→1.2333買い→1.2552売りclose→1.2366買い→1.2509買い→1.2606売りclose→1.2728売り→1.2594買いclose→1.2491買い→1.2533売りclose→1.2093買い→1.1933買い→1.2354売りclose→1.2532売り弱め→1.2478買いclose様子見→1.2476様子見
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円 現状乖離幅10.70←11.40円)先週の弱めの豪ドル円売り/NZ円買いシグナルから、早くもポジション解消売買となり、再び様子見に突入。過去の週間ごとの乖離幅経緯は以下の通り。9.30→11.80→13.95→14.60→16.00→13.00→15.35→16.00→15.40→14.90→17.10→15.40→13.90→10.55→9.90→11.20→10.75→12.40→11.75→12.25→12.40→11.65→10.85→9.95円→10.80←11.20→11.45→9.40→11.30←11.40円
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高&270円以上は円安の目安)
過去の経緯2月平均258.80 3月平均257.83 4月平均260.42 5月平均255.44 6月平均259.28 7月平均262.43円 8月263.61円 9月266.51円 10月268.38円 11月268.68、12月273.05円。新年度1月の平均は275.78円。2月からの週間推移は第一週はドル円121.10+157.00=278.10、先週はドル円121.70+158.30=280円と280円台に突入し要警戒であったが、今週はドル円119.35+ユーロ円156.85=276.20円と大幅な調整が見られる。今後も円キャリートレードの指針として注目したい。
● 欧州通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離70円 現状乖離幅75.95←79.00円』
先週の弱い売りシグナル0.6671から今週は通常の売りシグナル0.6738が点灯している。過去の売買シグナルは以下の通り。0.6974売り→0.6748買いclose→0.6818売り→0.6737買いclose→0.6795売り→0.6735買いclose→0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567弱い買い→0.6590売りclose→0.6592様子見→0.6671売り弱め
ユーロスイス『平均乖離54円 現状乖離幅60.20←60.75円』
様子見が継続中。先週の1.6228の様子見から、今週も引き続き1.6229で様子見が点灯中。
週間ごとの売買シグナルは以下の通り。1.5811売り→1.5607買いclose→1.5815売り→1.5905売り→1.5945売り→1.5835買いclose→1.5901様子見→1.6010様子見→1.6088様子見→1.6119様子見→1.6189様子見→1.6177様子見→1.6228様子見継続
ポンドスイス『平均乖離35円 現状乖離幅39.50←42.20円』
先週はポジション解消2.4326買いシグナルから様子見に転じたが、今週はレベルに変化があるが、2.4087の様子見が続いている。過去の週間ごとの推移は以下の通り。
2.2641買い→2.2846売りclose→2.2670買い→2.2795売りclose→2.2694買い→2.2865売りclose→2.2651買い→2,2779売りclose→2.2621買い→2.3340売りclose→2.3495売り→2.3200買いclose→2.3615売り→2.3824売り→2.3372買いclose→2.4430売り→2.4645売り→2.4489買いclose→2.4566売り→2.4539売り→2.4326買いclose様子見

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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりご覧になれますので、ご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
★ 本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。HPより各通貨別のチャートをご覧いただけます。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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