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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

主要3大通貨のバランス相場・・米ドル調整売り先行  

▼ドル円117円台が定着するとは思えないが、しばらくは、ドル円120円の節目がかなり遠ざかり、円高懸念が先行する相場である。 先週末の米GDP第3四半期は悪化予想が大幅に上回ったことから、ユーロドル1.27台とドル円118円割れをみせてからは、想定した以上のペースで米ドル安局面となり、損失確定の売りも散見される状況下では、今週は米ドルの上値の重い展開が余儀なくされる。巷では早くも米経済減速は言うまでも無く、再び米経済の後退懸念が再燃するかのうように、利下げまで論じられているように、狼狽的な売買が先行する恐れもあり、状況判断が難しさが残る週でもある。相対的には少な目とトレードに専念し、ポジションの拡大は避けねばならない。いずれにしても、先週末の米GDP発表後には瞬間的には、117円割れも視野に入った状況でもあり、下値懸念を優先したスタートになるだろう。

▼一方では、117円前後では円キャリートレードの水準としては魅力的なレベルでもあり、機関投資家の動きを見てからの始動が賢明であろう。 基本的には米ドルショートを勧めるが、利益確定の米ドル買いとキャリートレードの根強さを背景に118円台への復活も充分にあると判断し、現段階では売り急ぎは禁物であり、あくまでもドル円118円台からの米ドルショートで臨みたい。 昨年度並にボーナスシーズンに向けての円キャリートレードを考慮すると、ドル円の下値も限定的であろうが、米中間選挙を控えて、円高の調整局面も考慮しなければならず、フットワークよさで乗り切るしか良策は無く、常に乱高下に対する姿勢が問われる相場である。

▼米国の住宅市場の冷え込みが鮮明になり、長期金利の低下現象と原油価格の安定により、インフレ懸念が確実に沈静化することもあり、利上げ期待は消滅し、当面、金利は据え置きされることを考えれば、必然的に利下げ期待を織り込むシナリオが再現されるであろう。今週は日銀金融政策決定会合による利上げ動向と、米10月ISM指数および米雇用統計が特に注目材料になるが、過剰とも思えた円安局面が終了し、主要3大通貨のバランスが機能しているとも言えるが、いずれにしても、週末の米雇用統計が鍵を握ることになりそうである。数字次第では一気に米ドル売りに加速する局面も考えられるだけに、米ドルショートへの移行が優先される相場とも言える。
▼今週はシカゴIMM先物通貨(投機筋)円ショート残高に話題は集中すると思われるが、過去との比較がナンセンスになりつつあるのかもしれないが、史上最高の円ショート(13万枚)に膨れ上がり、今までの円安を裏付けたと言えるが、今回の円高局面を演じている市場との温度差がありすぎ、ただ単に手仕舞いによる円高警戒意識が高まる相場である。 相場との因果関係も含めて、悩ましい相場にならざるを得ない。

***********今週のペットでも判る簡単チャート***********
作成年月日 2006年10月29(日) 週末の終値ベース 事前予想実施中
米ドルの買われすぎから、段階的な修正局面に至っており、米ドルの強弱を見る限りは、先週末の段階でニュートラルなレベルに戻っている。基本的には米ドルの動きを待ってからの始動が賢明であり、マーケットが思考錯誤している状況が窺われる。次の展開待ちの様相が続くため、少な目のトレードに徹し、米ドルの方向性を見極める時期でもある。
新外為の森HP内US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドルの強弱を参照

ドル円(ユーロドル⇔ユーロ円)平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1175←0.1250)
乖離幅試算=ユーロドル1.2738⇔ユーロ円149.80(0.7851−0.6676=0.1175)
先々週の強い売りシグナル119.65円から先週は通常の売りシグナル118.72に移行したが、今週も売りシグナル117.60円が継続中。
過去の週間ごとの乖離幅と売買シグナルは以下の通り。
0.1210(118.30売り)→0.1234(116.60売り)→0.0870(113.80買い)→0.1133(116.50売り)→0.1165(114.50売り)→0.0958(114.00買い)→0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買い様子見)→0.1103(116.30様子見)→0.1153(117.25売り)→0.1138(117.10売り継続))→0.1177(117.60売り)→0.1111(116.55弱め売り一部買戻し)→0.1143(118.15売り)→0.1268(119円売り)→0.1314(119.65売り)→0.1250(118.72売り)

ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅28円 現状乖離幅32.20←31.00円)
先々週の1.2511の買戻しから、先週は弱めの売りシグナル1.2612が点灯していたが、今週は通常の売りシグナル1.2738が点灯している。
過去の週間ごとの経緯は下記の通り。
1.1940売り→1.1878買い→1.2045売り→1.1911買い→1.2190売り→1.2030買い→1.2269売り→1.2096買い様子見→1.2627売り→1.2729売り→1.2921売り→1.2778売り→1.2917売り→1.2510買い→1.2810売り→1.2875売り→1.2755売り弱め→1.2835売り←1.2672売り弱め→1.2784売り→1.2675売り→1.2600売り(一部買戻し)→1.2511買い→1.2612売り弱め

豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅27.25←28.65円)
先週は様子見段階の0.7586であったが、今週は弱めの売りシグナル0.7683が点灯中。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7380買い→.0.7318買い→0.7432買い継続→0.7517売りclose→0.7536様子見→0.7524様子見→0.7676売り→0.7661売り継続→0.7595売り継続→0.7665売り→0.7537買いclose→0.7503様子見→0.7460弱い買い→0.7420弱い買い→0.7509売り解消→0.7586様子見

NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅38円 現状乖離幅39.65←39.40円)
先週の売りシグナル0.6680でポジション解消後、引き続き様子見状態が続いている。今週も0.6628で様子見が点灯中。
過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6082買い→0.6334買い→0.6422売り→0.6200様子見→0.6335様子見→0.6179買い→0.6082買い→0.6114買い継続→0.6242買い継続→0.6251買い→0.6337買い→0.6395買い→0.6371買い→0.6550売りclose→0.6375買い→0.6628買い継続→0.6615売りclose様子見→0.6530買い弱め→0.6584買い→0.6573買い→0.6680売り解消

カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅14円 現状乖離幅12.55←13.30円)
先週のポジション解消買い1.1262から、弱冠ながら解離幅が縮小しており、弱めの買いシグナルが1.1195で点灯しようとしているが、1.1150前後が買いの目安である。週間ごとの売買シグナルは下記の通り
1.1057買い→1.1099買い→1.1180買い継続→1.1010買い→1.1063買い→1.1229買い継続→1.1160買い→1.1282買い→1.1376売りclose→1.1318様子見→1.1276様子見→1.1248買い→1.1088買い→1.1048買い→1.1207買い→1.1298売り→1.1195買い→1.1174買い継続1.1178買い→1.1258売りCLOSED→1.1379売り弱め→1.1262買い解消

ポンド(ドル円x2−£円平均乖基準離幅20円 現状乖離幅12.05←13.90円)
ドル円117.60x2=235.20−ポンド円223.15=12.05円
先週の売りシグナル1.8829から今週は更に強い売りシグナル1.8975が点灯中。
過去の乖離幅の経緯は以下の通り。
乖離幅30円前後から10円まで縮小しており、10円を割ってくると強い売りシグナルが点灯する。最近の乖離幅の経緯は13円→16→13→17→21→17→10→13→15円→17円→14円→17円と乱高下している。乖離幅の売買目安=乖離幅30円→1.74、25円→1.780、20円→1.8250、15円→1.8600、10円→1.9000レベル。

スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅23.45←24.45円)
先週は1.2594レベルでポジション解消となったが、今週も落ち着いた動きであり、1.2491で弱めの買いシグナルは点灯しているが、基本的には様子見レベルである。過去の週間ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.2261買い→1.1981買い→1.2165買い→1.2250買い→1.2088買い→1.2306買い→1.2234買い→1.2432売り→1.2333買い→1.2394買い→1.2307買い→1.2475買い継続→1.2552売りclose→1.2366買い→1.2509買い弱め→1.2606売りポジションClosed→1.2728売り→1.2594買い解消

★豪ドル円/NZドル円裁定取引平均基準乖離幅10.00円)現状乖離幅12.40←10.75円)
再び解離幅が拡大気味であるが、13円まで拡大するまで様子見が適当であり、同レベルから豪ドル円売り/NZ円買いのスタートが目安となる。
過去の週間ごとの経緯は次の通り。
9.30円→10.80→11.80→13.95→13.05→14.60→16.00→15.45→13.95→13.00→14.40→15.35→16.00→15.40→14.90→17.15→16.05→15.40→13.90→14.05→13.60→10.55→11.00→9.95ポジション解消→11.20様子見→10.75様子見

単純加算方式 ユーロ円+ドル円(255円以下は円高&265円以上は円安の目安) 
過去の経緯2月平均258.80 3月平均257.83 4月平均260.42 5月平均255.44
6月平均259.28 7月平均262.43円 8月263.61円 9月266.51円
先々週は119.65+149.70=269.35円と270円に接近し、過去最高を更新したが、先週の268.40の円高、そして今週はドル円のみ変更され、117.60+149.80=267.40と円高調整へ。

欧州通貨ペア

ユーロポンド『平均乖離68円 現状乖離幅73.35←73.80円』
先週の弱い買いシグナル0.6689から変化はなく、今週も基本は0.6713で様子見である。過去の売買シグナルは以下の通り。
0.6941売り→0.6974売り→0.6939売り→0.6915売り→0.6922売り→0.6748買い→0.6731様子見→0.6818売り→0.6759売り継続→0.6737買い→0.6795売り→0.6735買いclose→0.6730様子見→0.6768様子見→0.6735様子見→0.6743様子見→0.6689様子見

ユーロスイス『平均乖離50円 現状乖離幅55.65←55.45円』
先週の売りシグナル1.5883から引き続き今週も1.5911で売りシグナルが点灯中。
過去の売買シグナルは以下の通り。
1.5717売り→1.5775売り→1.5811売り←1.5744売り→1.5607買い→1.5726売り→1.5815売り→1.5818売り継続→1.5808売り継続→1.5905売り→1.5855売り継続→1.5884売り継続中→1.5925売り→1.5883売り継続

ポンドスイス『平均乖離28円 現状乖離34.85←35.00円』
先週の強めの売りシグナル2.3713から変化がなく、今週も2.3702で売りシグナルが点灯中。
過去の週間ごとの推移は以下の通り。
2.2986売り→2.2763買い→2.2641買い→2.2846売り→2.2670買い→2.2742買い→2.2795売り→2.2694買い→2.2865売り→2.2742買い→2.2651買い→2,2779売り→2.2621買い→2.2683売り→2.2975様子見→2.3340売り→2.3495売り→2.3200買い様子見→2.3388売り様子見→2.3447様子見→2.3264様子見→2.3615売り→2.3585売り継続→2.3617売り継続→2.3713売り。

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新外為の森 参照http://kentish.fc2web.com
★本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願いいたします。
★最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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