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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ユーロ不安定な上昇局面!1.23台で戻り売り優先?

昨日発表された6月米小売売上高が前月比0.5%減少、市場予想が0.2%増であっただけに、週明けの為替市場はドル売りに反応し、ドル円は79円割れ、そして、ユーロドルは1.23台を窺う動きに繋がっている。その中、本日と明日のバーナンキ議長の議会証言を控え、同議長が追加緩和を示唆するかが市場の焦点になっているが、米景気動向を探る重要指標である米小売売上高の伸び悩みを背景に、市場全般に警戒感が強まっている。
一方、欧州圏では、米某シンクタンクが「ECBは9月にもマイナス預金金利まで引き下げる可能性」や「経済や金融状況が悪化すれば、ECBは追加緩和の用意があり、また非標準的な手段をとることも可能」との見方を示したこが伝わったことから、ユーロの戻り売りが優先されている。また、ドイツのメルケル首相は、債務危機封じ込めに苦慮しているユーロ圏諸国の負担を共有化に関しては、依然として、ドイツは各国の権限を一元化することを強調しており、譲歩の姿勢を一向に見せておらず、ユーロの上値の重さに繋がっている。
他方、シカゴIMM通貨先物市場では、ユーロショートが再び拡大している。反面、ソブリン系金融機関よる値ごろ感の買いが観測されるなど、ユーロドル1.22割れでは、短期筋によるポジション調整買いも手伝い、ユーロを積極的に売り下げる難しさが表面化しつつある。
その中、IMFは2013年の世界成長見通しを従来の4.1%から3.9%に下方修正しており、世界経済の減速懸念が強まると共に、各国の利下げ競争や自国通貨安競争が強まる傾向は否めず、相対的に為替相場自体の難易度を高めている以上、直近のレンジ幅で逆張り待機が得策であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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