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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円・ユーロともに戻り売り優先の展開?

ユーロ圏財務相会合でスペインへの支援が合意されたものの、ユーロドルは一時1.2235近辺まで下落し年初来安値を更新する中、懸念されているイタリアの財政赤字に関する年次報告が公表され、2012年単年度の財政赤字はGDP比2.6%に修正している。
ユーロ圏財務相会合でスペイン銀行の資本増強のため、今月中にも300億ユーロの支援を実施することで合意、また、欧州安定メカニズム(ESM)による恒久的な救済については、独裁判所が合憲との判断を下すとの観測も高まったことから、一時、欧州債務対策に対する期待が高まり、ユーロ相場をけん引したが、その後、イタリアのモンティ首相がイタリアはユーロ圏救済基金による国債買い入れを要請する可能性があると示唆したほか、同首相が来年の任期満了で退任する意思を示したことを受け、同国の債務財政計画が遅れるとの見方が先行し、再び、市場はユーロ売りに傾斜している。
一方、本日は主だった経済指標もない中、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が発表されるが、現時点では、FOMCで即座に追加緩和を行う可能性がないことから、ドル買い優勢の状況には変わりがないが、相場を動意づける程の材料ではないだろう。
他方、明日から日銀金融政策会合が開かれるが、ユーロ債務危機を背景とした株価懸念や円高相場の動向に注目は集まる中、政策金利は現状維持で仕方がないが、過度な円高局面に対しては、政府・日銀の円売り介入を辞さないとの見解が意識されており、ドル円の下値は限定的と言わざるを得ないだろう。
いずれにしても、次の材料待ちの段階であるが、ポジション解消売りが優先されており、上値の重い展開が予想されるが、現時点では直近のレンジ幅を重視して、売買を模索するしか妙味はないだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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