米雇用統計期待外れ!米ドル全面高に違和感?
先週末に発表された6月の雇用統計は、非農業部門雇用者数は前月比8万人増にとどまり、雇用者数の伸びは3カ月連続で10万人を下回っている。また、市場予想の9万人増をも下回る結果となり、米連邦準備理事会(FRB)における量的緩和第3弾(QE3)への期待感は後退している。
一方、米雇用統計の悪化を背景に、市場全般にリスク回避の動きが強まると同時に、NYダウは12,800ドル割れまで下落する中、ドル円及びユーロ相場は上値の重い展開を強いられている。ユーロドルは一時1.22台半ば近辺まで下落、年初来安値を更新する場面があったが、スペインが2009年以来2度目のリセッションに陥り、税収不足が懸念される中、歳出を更に削減する必要があると強調、そして、イタリアも付加価値税(VAT)の増税を先送りし、歳出削減を実施することを閣議決定するなど、ユーロ財政危機の鎮静化に向けて、各国共に苦肉の策を繰り出している関係上、ユーロ売りに一服感が生じている。ただ、重債務国側からの見解であるため、未だに懐疑的との見方が先行しており、ユーロの戻りの鈍さに繋がっている。
他方、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、日本の円売り介入は他国と協議した場合に正当化されると述べる中、安住財務相も円高進行は日本経済の下振れリスクであるとの
認識を示し、為替市場の動向を注視し、適時適切に対応するとの姿勢を明らかにしている。とは言え、相対的に円相場に対する材料としては新鮮味に欠ける内容ではあり、積極的に円売りを仕掛ける材料には至っていない。