ユーロ反発も反動売りに警戒?ドル円80円台再トライ?
欧州連合(EU)のファンロンパイ大統領がユーロ圏17カ国首脳による会議後、スペインの銀行向け融資で、各国政府が他の債権者に優先して弁済を受ける権利を放棄したことを明らかにした余韻が残る中、先週は欧州首脳が国債市場の安定化策などで合意したことが支援材料となり、ユーロは大幅に反発して引けている。
ユーロ圏首脳は2013年から欧州安定メカニズム(ESM)が政府を経由せず銀行に資本を直接注入できるようにする方針を固めると共に、ユーロ域内の銀行監督の一元化においても合意したことが好感されている。ただ、合意の詳細は明らかにされてはいないため違和感は拭えないが、事前予想において欧州首脳会議における打開策は限定的との見方が優勢であったため、市場はサプライズ的にユーロ買いに反応している。
一方、重債務国の財政再建計画に向けて厳格な条件が付随している関係上、市場のコンセンサスとしては、未だに楽観視するほどの状況には至っていない。それ故に、現段階ではユーロショートの解消が優先されていると判断するのが妥当であろう。また、ユーロ共同債に関して、ドイツの反対姿勢は未だに変わってはいないが、独政府は、ESMによる銀行への直接資本注入については、各政府が責任を持つべきことを主張していたが、今回の合意により、当面、ドイツがどこまで歩み寄りを見せるかが為替相場のキーポイントになりつつある。
他方、今週の欧州中央銀行(ECB)理事会において、欧州金融安定化に向けて、ECBが主要政策金利を1%から0.25%引き下げるとの観測が強まっていることから、更にユーロ買いを強調出来ない側面があるが、既に織り込み済みとの観測もあり、当面、1.2550〜1.2750のレンジ幅で神経質な展開が予想される。