月末控えて一進一退!ユーロ悪材料出尽くしで反発余地?
市場ではEU首脳会議を控えて、期待と失望が渦巻く中、スペインとイタリアの財政危機を背景に緊急な対策を求められているが、ドイツのメルケル首相は本日から行われる欧州連合(EU)首脳会議において、ユーロ圏共同債の導入などに関する要求には応じない意向を改めて表明している。同首相は欧州首脳が新たな財政規律で合意する以前にユーロ圏共同債の導入を求めているのは本末転倒だと批判、首脳会議では連帯債務に関する案に協議が集中し、規制や構造政策に関する議論が軽視されるのではないかと懸念、ユーロ圏債務危機を克服する即効薬や容易な解決策はないとし、政策担当者は性急に実現不可能な確約をすべきでないとの見解を示している。ただ、メルケル首相は、ユーロ圏各国がそれぞれの予算監督権の返上で合意するまで、共同債に関する検討はできないとの考えを示す中、連帯債務は十分な規制がなされた時に初めて可能になると述べており、将来的にはユーロ共同債発行を完全否定していないことが救いであろう。そして、来週にはECB理事会が予定されているが、既にECB理事の一部からは利下げの可能性も指摘されており、ユーロは引き続き上値の重い展開を強いられている。
一方、昨日発表された米経済指標が相対的に強かったことから、ドル円相場は底堅さを取り戻しつつある反面、ドル円80円台では実需売りやポジション調整売りが控えており、相変わらず狭いレンジ幅で小康状態が続いている。
他方、市場では中国が新たな刺激策を打ち出すのではないかとの観測や、スペインの救済要請に次いで、イタリアにまで及べば、現在の欧州金融安定ファシリティー(EFSF)あるいは欧州安定メカニズム(ESM)という救済基金では不充分など、様々な憶測がある以上、いずれの通貨も積極的にポジションを構築しにくい相場環境にある。