材料多様化!一進一退の展開?
欧州財政危機懸念が深まる中、昨日イタリア政府が実施したゼロクーポン債(14年償還)29億9000万ユーロの平均落札利回りは4.712%と、前回入札時の4.037%を上回っている。また、スペイン政府が実施した短期証券入札でも利回りが3倍近くに跳ね上がるなど、依然として、ユーロ売りに材料には事欠かない相場環境になっている。
一方、ユーロ共同債に関しては、メルケル独首相も連立与党の会議で、自身が生きている間は、欧州が全債務を共有化することはないと述べるなど否定的な姿勢は堅持していたことを受けて、市場では明日から開催されるEU首脳会議への期待感が削がれつつあり、ユーロを積極的に買い戻す動きは後退している。その中、格付け会社イーガン・ジョーンズがドイツの格付けをAAマイナスからAプラスに引き下げ、見通しをネガティブとしたこともユーロ売りを助長させている。ただ、ドイツ政府は危機に直面した銀行の支援などに対しては、域内各国の救済基金に欧州安定メカニズム(ESM)からの直接支援提供を認めることを提案するなど、ユーロ圏の救済基金の中で柔軟姿勢をみせている。
他方、ドル円は貿易赤字の拡大や政局不安を背景にした円売り基調やリスク回避の円買いに挟まれた格好で79円台半ば前後で膠着度を強めているが、現時点では、79円割れでは実需や介入警戒があるため、円を積極的に買い上げる状況には至っておらず、79〜80円のレンジ相場で売買を模索するしか妙味はないだろう。