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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ユーロ悪材料に反応薄!政局不安抱え円買い希薄?

昨日メルケル独首相がユーロ共同債発行を改めて拒否したことで、28-29日に行われる欧州連合(EU)首脳会議にて具体的な対策は打ち出せないとの見方が広まっている。その中、スペインもEUに対して銀行支援を正式に要請するなどユーロ財政危機の根深さが露呈されている。そして、米格付け会社ムーディーズがスペインの銀行格付けを引き下げると共に28行の長期債務・預金格付けを一斉に1〜4段階引き下げを発表するなど、ユーロの上値の重さが指摘されている。また、スペインに続きキプロスがEUに支援要請。これでユーロ加盟国17カ国の中で5番目の支援国となるが、経済規模自体が小さいこともあり、これらの悪材料はある程度織り込み済みとの観測やユーロショートの積み上がりなどを背景に、ユーロ自体の反応は限定的になっている。
一方、EU首脳会議で採択する文書草案が伝わっているが、一応、欧州債務危機の封じ込めに向けるために域内の破綻処理などを一元化する銀行同盟創設については年内合意を目指す方針を打ち出すとしているが、欧州委員会が提案した銀行の救済や破綻処理に関する点において、未だに不透明な側面が多々あり、ユーロ買いには繋がっていない。
他方、ドル円は欧州危機を背景にリスク選考型で80円台の上値の重さが生じているが、国内では消費増税法案を巡る動きが不透明で様子見ムードが広がりつつあるが、衆議院で大量造反が起きれば、野田首相に対する不信任案が可決される可能性も否定できないため、本日は日本の政局の混迷を見極めたいとの思惑から、相対的に円を積極的に買い上がる興味が削がれている。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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