ユーロ財政再建は懐疑的!戻り売り優先の展開は不変?
ギリシャの選挙結果にもかかわらず、欧州債券市場では、スペイン国債が下落、10年債利回りは7%を突破するなど、ユーロ圏債務危機への警戒意識が再燃したため、昨日のユーロ相場は一過性の上昇にとどまっている。その中、スペイン銀行(中央銀行)が市中銀行の不良債権が4月に増えたことが発表されたこともスペイン債利回りを押し上げ、ユーロ売りを誘発している。
一方、G20声明草案では、ユーロ圏が域内の統合・安定を守るため必要な全ての措置を取ることで合意。財政危機による負の連鎖を断ち切る方策を見出すようユーロ圏に要請すると共に、ギリシャがユーロ圏に留まるよう新政権と域内諸国が連携して取り組むことなどが折り込まれているが、市場の反応は限定的になっている。
他方、スペインの財政再建に懐疑的な見方がまる中、EUはあくまで支援は金融機関に関連したものに限定し、スペイン政府自体への支援には慎重姿勢を崩していないため、市場の関心はギリシャからより一層スペインの財政問題に移行している。
その他では、メルケル独首相はギリシャの合意した改革はいかなる緩和措置も受け入れられないと強調、同時に、ギリシャ第三次支援策について協議する理由はないとも述べているように、当面、ドイツ政府側からの歩み寄りはなく、依然として、市場はユーロの戻り売りを優先せざるを得ない相場環境にあるため、ドル円の上値の重さにも繋がっている。