外国為替取引ニュースサイト

  1. トップページ
  2. >コラム・レポート
  3. >鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー
  4. >中国経済の減速懸念が加わり、難解な相場展開へ?

コラム & レポート

バックナンバー

鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

中国経済の減速懸念が加わり、難解な相場展開へ?

中国人民銀行が政策金利を約4年ぶりに0.25%の引き下げを決定、中国経済の減速懸念を排除する狙いであるが、一連の中国経済指標から判断しても、世界経済のけん引役である中国経済の鈍化傾向は根強く、既に一部報道では更なる金融緩和策及び利下げが伝えられるなど、各国は欧州財政危機を発端に利下げ競争を強いられている。当面、株価維持のためには金融緩和は歓迎すべき材料ではあろうが、世界的な金融政策の行き詰まりが問われており、株式相場のみならず、債券・為替相場共に混迷を極めている。
一方、欧州情勢への警戒感や先の米雇用統計の悪化を踏まえて、今月のFOMCではQE3への期待感も高まってはいたが、昨日のバーナンキFRB議長の議会証言において、追加緩和姿勢を明確に打ち出さなかったことから、NYダウは伸び悩む結果になっている。
他方、市場はスペインの財政情勢に注がれている中、格付け会社フィッチは、スペインの格付けを3段階引き下げ「BBB」とし、今後数カ月に更に格下げする可能性があることを示唆している。また、米政府が「信頼できる」財政健全化計画を打ち出さなければ、同国の格付けを2013年に引き下げる用意があると改めて指摘するなど、市場はユーロ売りと米ドル売りに翻弄されている。また、窮地に追い込まれているギリシャのパパデモス元首相は、ギリシャがユーロ圏を離脱した場合、既に困難に直面している同国経済に「壊滅的な」打撃があると警告、17日に行われる再選挙において改革路線を唱えている政党に投票するよう呼びかけているように、再選挙の結果如何ではギリシャがユーロ圏にとどまれるかは微妙な段階になっており、ユーロショートを解消する動きも萎えているのが現状であろう。その中、ドル円は80円台を窺う展開になっているが、欧州情勢の動向次第では再度円買いに走る可能性を残している。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

ニュースクラウド