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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円80円視野も時期尚早!ユーロ更なる買い材料希薄?

スペインの銀行救済策に向けて、欧州中央銀行のドラギECB総裁が追加緩和観測の余地を残す発言や、G7後にFRB(米連邦準備理事会)幹部からも追加緩和策が指摘したことが好感されユーロは大幅に反発している。
一方、市場のコンセンサスとしては、IMM通貨先物におけるユーロの売り越しが20万枚台(5月29日現在)と過去最高になるなど、ユーロのショートポジションの積み上がり考慮して、投機筋がユーロショートを手仕舞いしているとの見解が大勢を占めている。それ故に、買い戻しが一巡すれば、ユーロの一方的な上昇は懐疑的との見方もあり、ユーロの乱高下は避けられない情勢にある。ただ、欧州債務問題や世界的な景気減速懸念が先行する中、日米欧などの主要国は既に超低金利政策を維持している関係上、今後、欧米追加金融緩和策がどれだけ効果的かは明らかではなく、短期筋の巻き戻しが一巡すれば、再度ユーロ売りに傾斜しても何ら不可思議ではなく、引き続き、ドル円及びユーロドルの戻り売りに妙味が生じている。
他方、ドル円は政府・日銀の介入警戒が日増しに強まっている関係上、下値は限定されると思われるが、いずれにしても、欧州財政危機が鍵を握っていることは間違いなく、当面、78〜80円のレンジ相場と解釈した方が無難であろう。また、スペインの銀行に対する救済策実施への期待や欧米の追加金融緩和観測を背景に、昨日の米国株式市場が急伸、そして、本日のアジア株式市場も連れ高の気配になっているが、更なる上昇は望めないだけに、現時点では株高・円安の構図も希薄と言わざるを得ないだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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