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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ユーロショートカバー優先の展開!戻り売りに屈する????

欧米の当局者が景気刺激策を講じるとの思惑から米株式相場は続伸、今年最大の上げ幅を記録、リスク回避志向がやや緩和されたことから、ユーロドルは1.25台後半まで反発している。
一方、欧州中央銀行(ECB)は政策金利を1.00%に据え置き、理事会後の記者会見でドラギ総裁は、金融政策をもって他の機関による政策の欠如を補完することは誤っていると述べ、長期資金供給オペ(LTRO)の追加実施の可能性を否定。ユーロ圏債務危機解決の責任は各国政府にあるとの立場を明確にしている。ただ、市場ではドラギECB総裁がユーロ圏経済の見通しが悪化する中で当局には行動する用意があると表明したことを手掛かりに、欧州当局がスペイン銀救済に向けて何らかの行動を起こすのではとの期待感が強まっており、ユーロの買い戻しを助長させている。
他方、スペイン政府は支援を要請すれば、EU側から厳格な条件を突きつけられるとし、スペインは難色を示しているが、EUからの銀行への直接支援には、欧州中核国であるドイツ政府の賛同が得られていないだけに、今後もスペインに対する救済には難航が予想されているものの、反面、先のG7を通じて、米国や他の主要国からも協調姿勢を取り付けているため、市場では何らかの打開策があるとの観測を背景に、異常に膨らんだユーロショートを買い戻す動きが優先されている。いずれにしても、スペイン情勢は未だに楽観視されていないだけに、ユーロドルは表裏一体の攻防が続くと見なすのが妥当であり、基本的には急落を想定した上で、戻り売りに徹することが得策であろう。
その他では、ドル円は政府・日銀の介入期待から底堅い展開が予想されるが、欧州経済の低迷と共に米国の減速懸念が浸透しつつあるだけに、上値は限定的と言わざるを得ないが、ドル円80円台が視野に入りつつあるだけに、当面、79円割れからのショートは自重局面にある。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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