急ピッチのドル買い・円買いにも陰り!見極めの時期到来?
欧州財政懸念が高まる中、先週末に発表された米5月雇用統計において、失業率が予想に反して、8.2%(予想8.1%)と上昇、また、非農業部門雇用者数も大幅に予想を下回ったことが嫌気され、ドル円は一時77円台半ば近辺まで下落、同時に、ユーロ円も下げ幅を拡大したことが嫌気され、ユーロドルは一時1.23割れまで下落するなど、波乱含みの展開を余儀なくされていたが、その後、急ピッチの円高懸念の中、政府日銀の介入観測やFRBによるレートチェックの憶測まで浮上したことから、ドル円は78円台を回復し、下げ止まりの兆候を見せている。また、ECBがスペインやイタリア債を購入するとの観測などもあり、ユーロドルは1.24台半ばまで近辺まで買い戻す場面が見られるなど為替市場はより一層混迷を極めている。
一方、米雇用統計の悪化を背景にNYダウは大幅に下落したことを背景に、市場では連邦準備理事会(FRB)が量的緩和第三弾(QE3)を実施するとの憶測が高まり、米10年債利回りが1.5%割れへと低下傾向を強めているが、必ずしも、リスク回避による米債利回り低下局面ではなく、過度なドル買い志向にも不透明感が生じている。
他方、シカゴIMM通貨市場では、リスク回避によるドルロング志向は根強い中、ユーロショートが過去最大の20万枚台まで拡大している関係上、投機筋の急ピッチのユーロショートはペースダウンしており、ユーロの下げ止まりの感も否めない。また、高金利通貨の豪ドルショートが3万5千枚台へと異常なほどまでに膨れ上がっているが、同時に、消去法的な円買いにも疑念があり、米ドルの更なる買い越しには懐疑的な見方が先行している。いずれにしても、様々な情報が錯綜する中、見極めの時期が到来しており、過度なドル買い及び円買い、そして、ユーロ売りには警戒を要するため、当面、レンジ幅を拡大して、ドル円及びユーロの戻り売りに注視して臨むことが賢明であろう。
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