ユーロ下値懸念払拭されず!戻り売り優先の展開?
スペイン政府の銀行救済負担や借り入れコストの大幅増加に対する懸念が強まる中、スペイン国債10年物利回りは6.5%近辺で高止まりしている。スペイン当局が大手銀行バンキアの資本再編に向け、新発債を発行する方針だと明らかにしたが、その後、スペイン政府はバンキアの資本増強のため公債を注入する案を撤回したことを受け、スペイン国債とドイツ連邦債の利回り格差はユーロ導入以来最高水準に達している。その中、ユーロは対ドルで大量のストップロスを巻き込み、節目である1.25割れの展開を余儀なくされており、約2年ぶりの安値圏にまで下落している。
一方、ギリシャの世論調査で緊縮財政を支持する政党が得票率を伸ばしていることが明らかになり、ギリシャのユーロ離脱懸念がやや後退したことが好感され、ユーロドルは一時的に上昇する場面があったが、結果的にはスペインの金融不安に屈した格好で戻り売りが優先されている。また、時期尚早であるが、スペイン財政危機が更に深刻化すれば、堅調なドイツ経済への影響も計り知れず、最終的にはユーロドル1.200割れは言うまでもなく、1.100割れの展開も視野に入れるべきとの声も聞かれるなど、ユーロ財政危機を背景にして、ユーロの乱高下は避けられない相場環境にあると言わざるを得ない。
他方、昨日発表された米住宅価格指数は2カ月連続で上昇し、米住宅市場の安定化の兆しがあるものの、米5月消費者信頼感指数は64.9と前月の68.7から低下、年初来の最低水準になっている。欧州不安がある限り、今後も低下する可能性が強まっており、米国経済の健全性に懐疑的な見方が先行している。市場は相対的にリスク回避のドル買いに傾斜しているが、連日のようにドルの買い越しが続いており、一方的なドル上昇にも疑念が生じている。