加速的な円買い・ドル買いにブレーキ?
先の米雇用統計の悪化やフランスおよびギリシャの大統領選挙に余韻を残す中、日経平均株価は一時270円安と今年最大の下落幅を記録するなど、相対的にリスク回避を促す中、市場は長期金利の低下に始まり、株安・円高へと傾斜している。
一方、オランド仏新大統領は既に財政政策や成長戦略などに異論を投じていると同時に、財政規律を強化する欧州連合(EU)新条約の見直しを訴えているため、EU中核国であるドイツとの足並みの乱れが案じられている事がユーロ売りを誘引している。とは言え、既に他の欧州諸国が既に新条約に調印しているため、フランスの大統領交代劇によって、EU体制が揺らぐと判断するのは早計であり、また、仏自体も財政難を抱えており、ユーロ危機回避に向けた各国の協調要請を重んじれば、大勢的には変化は生じないと判断するのが順当であろう。
いずれにしても、当面、欧州財政危機を背景にして、為替市場は神経質な展開を余儀なくされるが、原則的には既に、円高及びユーロ安が下限レベルまで到達しており、また、為替の貿易収支の整合性から判断しても、ドル円及びユーロドルの下値余地は希薄になっており、むしろドル円及びユーロの反発を警戒する方がリスクは軽減されるだろう。
また、RBA政策金利の利下げ幅が事前予想(0.25%)に反して、0.5%となったことから、加速的に豪ドル売りが優先されているが、対ドル1.0000や対円80円割れレベルからの反発は必至であり、過度な豪ドルショートは自重することが好ましいだろう。