米経済指標に不透明感残る!米雇用統計待ち?
米経済指標が第2四半期以降、鈍化傾向の兆しと共に、米景気減速懸念が高まっていたが、昨日発表された米供給管理協会(ISM)4月製造業景況指数は54.8と前月の53.4から上昇、景気動向を見極める分岐点50を大幅に上回ったことを受けて、NYダウ平均は2007年12月以来の高値圏まで上昇するなど、一転して、米経済に対する楽観的な見方が先行した形でドルを買い戻す動きが強まっている。その中、ドル円はスペインGDPが2期連続でマイナス成長などを背景にリスク回避の円買いが優先され80円割れへと危機感を強めていたが、ドル円は79円台半ば前後から再び80円台へと反発している。
その中、米地区連銀総裁の発言が相次いでいるが、ラッカー・リッチモンド連銀総裁は、連邦公開市場委員会(FOMC)は現時点で追加金融緩和を実施しても、成長の後押しにはほとんどならず、13年半ばに金利引き上げを余儀なくされるとの見方を示している。プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁は、回復を頓挫させるようなショックが起こらない限り、14年の終わりより相当前に金利を引き上げる必要性を述べている。また、フィッシャー・ダラス連銀総裁は新たな量的緩和策を支持しないと発言、そして、ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁は、経済成長のペースが労働市場の改善を行き詰まらせるほど鈍化した場合、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加的な債券購入が必要になるとの認識を示すなど、米経済の不透明感を背景にして、米金融政策の行き詰まり感とジレンマが表面化している。
一方、原油価格が106ドルと上昇気配を示すなど、依然として、ドルを積極的に買い上がれる状況ではないが、NYダウ平均の流れを引き継ぎ、日経平均株価が持ち直す可能性が高いだけに、過度な円高期待は後退していると判断するのが無難であろう。
いずれにしても、週末の米雇用統計を睨んだ神経質な相場展開は否めず、結果次第では相場が大きく動意づく可能性があるため、当面、レンジ幅を拡大して臨むことが一考であろう。