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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ユーロ買い材料皆無!戻り売り継続?

昨日は日米の金融緩和への期待が高まる中、特筆すべき材料もなく、為替相場は全般的に小幅なレンジ相場と化している。その中、4月のユーロ圏総合景気指数は47.4と前月の49.1から低下、事前予想49.3をも下回るなどさえない結果の中、4月の中国製造業購買担当者指数(PMI)速報値は49.1と、いずれも景気動向の節目である50を下回り、株式市場も終始軟調に推移して引けている。
一方、ユーロ圏を取り巻く話題が相次いでいるが、スペイン当局は財政懸念による国債利回りの上昇を鑑みて、本日の証券入札での発行目標額を前回入札の3分の2に減らすなど、危機感をあらわにしている。また、欧州連合(EU)の関係者がユーロ圏が「分裂するリスクはない」とし、ギリシャがユーロ加盟17カ国の一員にとどまるとの見解を表明、ギリシャのユーロ離脱の火種はくすぶり続けている。その中、オランダのルッテ首相はベアトリクス女王に、内閣総辞職の意向を伝える中、スペインの財政赤字問題を背景に、危機に対応するユーロ圏の資金力への不安があらためて高まっていることを指摘、オランダの政権崩壊はユーロ圏債務危機への対応をさらに複雑化させている。そして、ユーロ圏の中核国であるフランスでは、大統領選挙の第1回投票では社会党のオランド候補が現職のサルコジ大統領をリード、ユーロ離脱派であるルペン党首への支持票を取り込まなければならないサルコジ大統領にとっては窮地に追い込まれている。その政局不安から、仏5年債利回りが上昇するなど、ユーロドルにとっては買い材料は皆無に近い状況にあるにもかかわらず、米10年債利回りの低下や原油価格の高止まりなどを背景に、ユーロドルは1.31割れには至らず、1.31台半ばで膠着度を強めている。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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