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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

金融緩和後退でドル買い優先!戻り売りを探る展開?

昨日発表されたFOMC議事録において、現在の極めて緩和的な政策運営は中期的にインフレリスクとし、金融緩和の水準を更に長期間維持することは不適切とされたことを受けて、追加的金融緩和策が後退し、ドル全面高の展開を呈している。
ただし、景気が失速した場合やインフレが2%の水準を下回る場合には追加緩和の必要性を指摘するなど、相対的に曖昧感は拭えない状況にある。
いずれにしても、FRBの追加緩和(QE3)への期待が後退したことを受けて、ドル円は82円前後から83円台近辺まで急反発するなど改めて円売り志向の根強さが確認されている。
一方、アトランタ連銀総裁は米経済の見通しは明るく、量的緩和は不要との見解を示しているが、ラガルドIMF専務理事は欧州金融市場の落ち着きの兆候や米経済の力強さは見られるものの、景気回復は依然として脆弱と述べる中、米政府は歳出を抑制して、歳入の増加に勤める必要があると指摘した上、先進国にはインフレの兆候が見られていないことから、金融政策で景気を支援することが適当とも指摘している。それ故に、現時点では、米追加金融緩和策は後退しているとは言え、金融引き締め策に踏み切る程の景況感は見られず、今後も金融政策の是非に関して不透明感が残る以上、依然として、どちらにも振れ易い相場環境にあると判断するのが無難であろう。
他方、本日は米3月雇用統計の前哨戦である米3月ADP全国雇用者数や米3月ISM非製造業景況指数の発表が予定される中、総じて、米雇用改善期待が強まっているため、ドルの底堅い展開が予想され、当面、ドル円83円台やユーロドル1.32割れを視野に戦略性を高めることが得策であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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