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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

円買い優先も円売り好機到来?

今週は海外市場がイースター休暇に入ることや、週末には米雇用統計を控えている関係上、為替相場は全般的に動意薄ではあるが、先のシカゴ通貨先物市場における投機ポジションお円の売り越しが警戒レベルの6万枚を超えていることが意識されており、ドル円は一時82円割れへと相対的にポジション調整を踏まえた円の買い戻し傾向が強まっている。
一方、欧州連合統計局が発表した2月のユーロ圏の失業率は10.8%へと上昇、欧州債務危機や政府の歳出削減が響いており、1997年4月以降で最悪の水準となっており、雇用情勢が回復期にある米国とは対照的な数値になっている。また、3月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)も、景況感の分岐点である50を8カ月連続で割り込むなど、ユーロ経済の後退懸念材料が増幅していることもユ−ロの上値の重さを意識せざるを得ない状況である。
他方、日米欧に加え、中国でも金融緩和のスタンスを強めてきたことで流動性相場が一層加速する可能性が高まると共に、世界的な金融緩和が引き起こす副作用が懸念材料として浮上している。そのなかでもイラン情勢の緊迫化を受けて、原油価格の動向に注目が集まるが、原油価格高騰によるインフレ懸念が顕著になれば、金利先高観と共に過熱感の生じている株式市場の反落も考えられ、ドル売りと並行して、再び円買い圧力が強まる可能性は否定できないだろう。
いずれにしても、イースターを控える中、米雇用情勢を見極めるまでは、一進一退の展開が予想されるため、当面、直近のレンジ幅の中で売買を模索するしか妙味はないが、過度な円高局面では円売り志向は健在と判断するのが一考であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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