ユーロ上昇早まる!持続性に疑問?
バーナンキFRB議長はFRBが量的緩和第3弾(QE3)の実施に踏み切る可能性に関しては示唆してはいないものの、FRBが早期に緩和策の解除に動くことはないとの姿勢を強調している。米労働市場はこのところの改善にも関わらず、依然として正常からほど遠いとし、雇用の拡大ペースが持続可能かどうかは不明であることから、金融緩和が雇用の一層の拡大を促すために必要と、事実上のゼロ金利政策を当面継続する意向を示している。これらが好感されて、2月の米住宅販売保留指数が前月比0.5%低下と予想外の悪化にもかかわらず、NYダウは160ドル高と反発、為替相場は相対的にドル売り優先の展開を強いられている。
一方、ショイブレ独財務相はEUまたはユーロ圏全体での金融取引税の導入は難しいと述べる中、ギリシャはユーロ離脱を望んではいないし、残る以上に負担が大きいと意味深長な見解を述べている。また、ドラギECB総裁は金融・経済活動全般に安定化の兆候が見られると共に、銀行の資金調達環境は改善、銀行貸出は安定化しつつあると述べており、ユーロは好悪材料が入り混じる中、ドル売りを背景にユーロを買い戻す動きが早まっている。とは言え、ユーロ財政危機における不透明感が拭えない状況にあるだけに、過度な上昇局面では利益確定売りに遭遇する可能性が高く、1.34前後からのユーロロングは自重局面にあると言わざるを得ないだろう。
他方、ドル円は相対的にリスク回避志向が和らぎ、株高・円安へと底堅い相場展開が予想されるが、商品市場における原油価格の高止まり状態にあるだけに、上値は限定的と判断するのが無難であろう。