ドル円下値懸念希薄!ユーロ下値懸念解消されず?
先週は米新築住宅販売の伸び悩んだことからリスク回避の動きが強まる中、米債券利回りの低下と共に、相対的にドル売りが優先されている。ドル円は一時2週間ぶりとなる82円割れ水準まで下落したが、その後はNYダウが持ち直したことを受けて、ドル円は再び82円台半ば前後で膠着度を強めている。そして、ユーロドルはユーロ財政危機が一服した関係や米欧の制裁措置によりイランの石油輸出が急減しているとの報道が伝わり、原油価格が一時105ドルから108円台まで上昇したことが起因して、ドル売り優先の展開を強いられ、ユーロドルは一時1.33台を窺う展開になっている。
その中、ドイツのメルケル首相とショイブレ財務相は、ユーロ圏の暫定的な救済基金とされる欧州金融安定ファシリティー(EFSF)と恒久的な基金である欧州安定化メカニズ(ESM)の統合への反対姿勢を転換したことが報じられる中、財政難を抱えるイタリア首相が債務問題の再発防止のために、ユーロ共同債の可能性を強調していることなどがユーロの追い風になっている。
一方、ユーロ圏の中核国であるドイツ政府は、依然として、共同債に関しては異論を唱えているが、今後ユーロの安定化に向けて、近い将来、態度を一変させる可能性は否定できず、ユーロ相場の波乱材料になる可能性はあるだろう。
ただし、欧州債権市場では、スペイン国債が2カ月半ぶりに5.5%前後まで上昇しており、スペイン経済に対する警戒感が強まっており、突発的なユーロ売り要因になりかねないのが現状名だけに、上値は限定的と判断するのが妥当であろう。
いずれにしても、日米欧経済の不透明感が強まる中、中国経済の減速懸念やイラン情勢の悪化などが加わったことにより、いずれの通貨も積極的にポジションを構築できない外部環境にあるため、当面、ある程度の急落と反発を想定した上で逆張り待機で対処することが賢明であろう。