貿易収支黒字転換も円売り基調不変?
市場全般に円売り志向が強まる中、ドル円相場は一時84台への足固めをイメージさせる展開を見せていたが、期待されていた2月米中古住宅販売が伸び悩んだことから、再び円を買い戻す動きが優先され、ドル円は83円台半ばへと反落している。また、ユーロはギリシャ議会が第2次救済を受けるための法案を可決したことを好感して、一時、約2週間ぶりの高値水準まで回復していたが、その後、ユーロ債券市場ではスペインの財政再建をめぐる懸念が浮上し、スペイン10年債利回りは1ヵ月ぶりに5.40%まで上昇する中、ドイツ10年債は2%割れへとユーロ重債務国とドイツ債の利回り格差が再び拡大傾向を示し、ユーロの上昇を阻んでいる。
一方、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、欧州ソブリン債危機の最悪期は脱したとの見解を示す中、依然としてリスクは存在するとした上で、インフレや経常収支、とりわけ財政赤字などのユーロ圏の重要な経済指標は米国と比べても良好だと言及しているが、市場のコンセンサスとしては、依然として、ユーロ圏債務危機に対する収束感は一向に見られず、継続的なユーロの買い戻しには繋がっていない。
他方、今朝発表された本邦2月通関ベース貿易収支は1200億円の赤字予想が先行する中、329億円の黒字に転換したことを受けて、円買いがやや優先される格好であるが、潜在的な円売り地合いを背景に微調整の円買いにとどまり、83円割れは回避されているため、逆に底堅い状況が意識されている。