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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

レンジ相場継続!ドル円84円台・ユーロドル1.33台からナンピン売りに妙味?

米経済への回復期待が高まる中、米債券市場では10年債利回りが一時2.37%へと上昇、価格は下落基調を強めている。その一貫として、欧州債務危機が一段落した背景に、相対的に安全資産としての米国債の投資妙味は薄れるとの観測が強まっている。同様に、日欧国債利回りも2年債(短期債)が低下する中、10年債利回りが上昇過程にあるなど世界的に、だぶついた流動性資金に変化が現れている。
一部では中国の景気減速への懸念を背景にして、中国当局が段階的に安全資産の債券売却を優先しているとの見方も少なくなく、もう一段の債券下落を招くことも想定せざるを得ないだろう。ただし、米長期金利が上昇して、即座にドル買いが優勢となると判断するのは時期尚早であり、むしろ、本邦貿易収支の悪化やリスク回避姿勢の緩和などから、過度な円買い志向が後退し、円売り優勢の展開と判断するのが順当であろう。
一方、米商務省が20日発表した2月の住宅着工許可件数において、着工件数は減少したものの、前月比5.1%増の年率71万7000戸と3年半ぶりの高水準に近づいており、懸念されていた住宅市場における初期段階の回復傾向を示している。また、バーナンキ議長はジョージワシントン大学での講義で、政策当局者は景気後退後に「回復を支える政策を性急に反転させない」ようにする必要があると指摘する中、経済は引き続き試練に直面しており、失業率は依然高く、広範囲にわたり問題を引き起こしていると慎重姿勢を堅持している反面、経済の長期的見通しは依然良好で、状況は最終的に「正常化」するとの見通しを改めて強調しているなど、米国経済の回復期待が更に増しており、ドルの堅調さに繋がっている。ただし、イラン情勢の緊迫化を受けて原油相場が高止まりしている状況では過度なドル買い志向には限界が生じやすいだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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