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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円底堅さ堅持!85円に向けて再始動?


先週末に発表された米3月のミシガン大学消費者信頼感指数は74.3(予想76.0)と前回値(75.3)を下回る結果となり、相対的に米景気の先行きに対する楽観論がやや後退したこと
を受けて、ポジション調整によるドル売りが優先されているものの、市場のコンセンサスは円売り志向が強まっている関係上、ドル円は底堅さを堅持している。当面、ドル円85円
台に向けての再始動となるかが注目される。
一方、欧州債務危機に対する警戒感は依然として根強い中、ユーロドルはドル売り主導の展開からやや値を戻しつつある。ギリシャの無秩序なデフォルトは回避されたとの見通し
を背景に欧州各要人からは相次ぐ希望的発言などが伝わっている一方、国際通貨基金(IMF)はギリシャに関する報告書を公表、国際的な金融支援がなければ同国はユーロ圏からの無
秩序な離脱を強いられる。同時に、ギリシャは債務問題に対処する上で、経済改革や歳出削減で失敗が許されないとし、改革の遅れはリセッション(景気後退)の深刻化や債務状
況の悪化を招き、他のユーロ圏をのみならず、世界経済への影響にも言及している。それ故に、市場はユーロを更に買い上げるほどの迫力はなく、ユーロの反発は限定的と判断す
るのが無難であろう。
他方、欧州安定メカニズム(ESM)と現在の一時的な救済基金である欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の合計融資能力を現行の5000億ユーロから7000億ユーロ近くに拡大する可能性があるとユーロ当局から発表されているが、拡大に反対するドイツに配慮した妥協案という見方が支配的であり、ギリシャに次いでポルトガル及びスペインなどの重債務国を抱えている支援体制の限界と共に、懐疑的な見方が先行しているため、紆余曲折の段階としか言わざるを得ないだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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