ドル全面高も利食い局面?
先週末に米労働省が発表した2月雇用統計では非農業部門雇用者数は前月比22万7000人増となり、3カ月連続で雇用者増は20万人を超えたことを好感し、ドル全面高の様相を余儀なくされている。ドル円は82円台半ばへと昨年4月以来の円安水準となり、更にドル円の底堅さが意識されている。また、米雇用統計の改善を受けて、当面、FRBのQE3の可能性が後退したとの見方が先行していることがドル買いを誘引している。
一方、欧州圏では、格付け会社フィッチがギリシャの格付けを「C」から制限的デフォルトに格下げを発表する中、ギリシャ政府は債務交換で集団行動条項(CAC)を発動すると表明している。おそらく、CACの発動で債務交換の参加率が95.7%になる見込みと伝えられている。そして、ユーロ圏財務相は355億ユーロ相当のギリシャ向け支援資金の支払いを承認し、ギリシャによるCACの発動を含めて、民 間債権者保有の債務交換への支持を表明しているものの、市場はこれらを既成事実として捉えており、ユーロを積極的に買い戻すまでには至っておらず、依然として、リスク回避志向は根強く、ユーロドル1.3000割れのシナリオが再現しつつある。
他方、中国の2月貿易収支が22年ぶりの大幅赤字となったことを受けて、世界経済の減速懸念が改めて認識されているが、中国当局による金融緩和余地が更に広がるとの観測を受けて、日経平均株価は円安を好感する恰好で再度1万円台を回復している。反面、為替及び株式には過熱感と共に、伴う利食い局面にあるだけに、更に円売りが加速する相場環境とは言えず、当面82円前後で一進一退の攻防と判断するのが無難であろう。