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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ポジション調整売り進行中!買い戻しの時期を探る展開?

欧州債務問題についての懸念が強まると共に、リスク回避志向から米国債利回りが再び2%割れへと大きく低下、ドル円は81円割れへと円高を助長している。同時に、クロス円全般にも高値警戒感を踏まえたポジション解消売りが散見されるなど円買いに弾みがついた格好ではあるが、ドル円80円割れを描くには時期尚早と判断するのが妥当であろう。
一方、ギリシャの不秩序なデフォルトは回避されるとの見通しではあるが、明日に最終期限を控えている民間債権者とのギリシャ債交換について、期限が来週に延期されるとの観が流れたことが嫌気され、市場は不安感を募らせながらユーロ売りに傾斜している。
一応、ギリシャ当局は否定しているものの予断を許せない状況には変わりがない。
また、与党キリスト教民主同盟(CDU)の当局者がメルケル首相との会合後に、ギリシャの債務交換は順調に進むとの見方を議員らに示しているが、メルケル首相は債務交換の参率が目標に達しない場合は新たな問題が引き起こされるであろうと指摘、そして、ギリシャの債務減免は例外的な事例に留まると議員らに強調したと言われている。
他方、ECBが発表した先週末までのECBのバランスシートは3.02兆ユーロ(約3.96兆ドル)にまで拡大、FRBの2.9兆ドルを上回る結果となり、ユーロ財政危機を背景とした金融安定化の流動性供給が記録的な水準まで膨らんでいる事が如実に表れている。また、欧州連合(EU)統計局が発表した第4・四半期のユーロ圏域内総生産(GDP)伸び率の改定値は、前期比マイナス0.3%となり、先に欧州委員会が予想したユーロ圏の景気後退(リセッション)入りが現実味を帯びている。
いずれにしても、明日のギリシャ債交換期限と週末の米雇用統計を見極める必要があり、ギリシャの債務交換が順調に行われたとしても、不透明感は拭えず、当面、ユーロの戻りは限定的と判断した方がリスクは軽減されるだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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