ユーロ弱含みも戻り売りが正解?
総じて材料難の中、相対的に米国の景気回復期待が増す一方、欧州ではギリシャ債務交換の方向性が未だに確認されていないなど、欧州財政問題の先行き懸念が高まりと共に、ユーロはポジション調整売りに遭遇している。
一方、日本の貿易赤字懸念を背景に円安傾向が続く中、IMMシカゴ通貨先物市場においては、投機筋の円ポジションが昨年5月以来、僅かながら売り越しに転じている。現状では8日に発表される本邦の1月国際収支では経常収支が2009年1月以来の赤字に転落するとの見方が先行していることが円売り基調を強めていると解釈できるが、反面、投機筋のポジションがほぼ完全にニュートラルにあるだけに、どちらにもブレ易い状況にある。当面、80.50〜82.50円のレンジ幅で売買を模索することが賢明であろう。そして、ユーロショートは依然として、109千枚台と高水準とは言え、着実にポジション改善方向を示している。しかしながら、ユーロ債務危機に対する警戒感は根強く、逆にユーロ売りを仕掛けやすい相場環境にあるだけに、ユーロの戻り売り志向がさらに強まっている。
他方、先のユーロ圏財務相会合で承認された第2次支援の一環として、民間債権者は一段の損失負担を受け入れることで合意したことを受け、2060億ユーロの対ギリシャ債権を抱える民間債権者は、8日までにスワップに参加するか否か表明する必要があるが、ギリシャ向け第2次支援における民間部門の関与(PSI)は、民間部門の参加表明が危機として進まず、また、ギリシャの債務について「集団行動条項(CAC)」の発動を回避するためには、75%の民間債権者の参加が必要、66%未満の参加であれば、CACが無効となり、民間部門との合意そのものが白紙に戻るなど、危機的状況にあると英FT紙が報じていることもユーロ売りを誘引している。