ドル円&ユーロ利食い売り優先!流れは円売り基調不変?
市場のセンチメントがドル売りと円売り志向に傾斜する中、ギリシャの第2次救済合意などの材料出尽くし感から、利益確定売りが優先される恰好でドル円及びユーロは上値の重い展開を強いられている。ドル円は80円台、そして、ユーロドルは1.34台を維持しており、両通貨共に急ピッチの上昇に一服感が生じている。
一方、ドイツ連邦議会(下院)は1300億ユーロ規模の第2次ギリシャ支援を承認したものの、メルケル首相はギリシャ追加支援に対する世間の強い抵抗に反論する形で、ギリシャにユーロ圏離脱の圧力をかけることは「計り知れない」損害をもたらす恐れがあると警告している。そして、3月1〜2日に開かれる欧州連合(EU)首脳会議では域内の危機封じ込めを目指したファイアウオール(防火壁)の規模を拡大するかどうかが焦点になるが、同時に、同会議ではユーロ圏は恒久的基金である欧州安定化メカニズム(ESM)への資本払い込みを前倒しすることについて協議する事になっており、ドイツ政府は他の諸国も支払いを前倒しするならば今年中に110億ユーロを拠出する用意があると述べ、ドイツ政府がユーロ債務危機の回避に向けての協調姿勢を打ち出していることもユーロの追い風になっている。とは言え、ギリシャの格付けが21段階の最低レベルまで格下げされるなど、予断を許せない状況には変わりがない。
他方、シリア情勢の悪化やイラン核問題を巡る協議を背景にNY原油先物が108ドルと高止まりしており、消費者センチメントの悪化と共に、景気下振れリスクが増しているため、依然として、安全資産である米国債や独連邦債が買われるリスク選好型のマーケットになっている。また、低金利政策を背景にNYダウ平均は年初からの上昇率が6.28%と2008年5月以来の高値水準に達しているものの、世界経済が綱渡りの状態にあるだけに、株価の急落、債券の暴騰、為替相場の乱高下は常に想定する必要があるだろう。