チャート分析機能不全!仕切り直しの時期?
先のギリシャ支援決定の合意や本邦貿易赤字の拡大懸念をきっかけに為替相場の基調は円安・ユーロ高へと様変わりしている。先週、ユンケル・ユーログループ議長はギリシャ支援決定で終わったわけではなく、ギリシャは民間債権者との債務交渉を完遂しなければならない。そして、財政の誓約を実施すること以外に道はないと苦言を呈しているが、メルケル独首相は今週のEU首脳会談では景気への対処について協議するが、ギリシャ支援については、条件に対処するならば支払われると述べており、ギリシャに関する債務不履行は比較的楽観視されていることが追い風となり、ユーロドルは足早に回復基調にある。
一方、ドル円は80円台や81円台の節目では大量のストップロスを巻き込み、急ピッチに買いが加速、同時にクロス円相場も軒並みにポジション解消買いに追われる中、ドル円は81円台半ばまで、ユーロ円も110円寸前まで急上昇している。
市場にはユーロドル及び円に対する過熱感から、潜在的に上値警戒感は根強いが、超低金利政策による過剰流動性を起因として、だぶついたマネーが原油価格の高騰などを誘発しており、ドル及び円全面安を背景にドル円及びユーロの下値懸念は希薄になっている。
反面、G20財務相・中央銀行総裁会議は国際通貨基金(IMF)の資金枠増強の検討について、欧州のファイアウォール(防火壁)見直しに左右されることを明らかにしており、未だに、不安定なユーロ上昇相場と言わざるを得ない。
いずれにしても、急激な円安局面を迎えて、チャート並びにファンダメンタルズ分析が機能不能に陥っており、当面、過信は禁物と言えるが、改めて、ポジションの縮小と共に仕切り直しの時期にあると判断するのが無難であろう。