ドル円80円で膠着相場!ユーロ不安定な上昇局面?
世界的な金融緩和の影響を受けて、流動的な投資マネーが原油や金価格の上昇を招く中、昨日の米7年債入札の好結果を背景に、米10年債利回りが低下したことから、NYダウ平均は2008年5月以来の高値水準まで回復するなど、リスク回避姿勢が緩和されている。相対的にユーロ債務危機に一服感が生じる中、ユーロのショートポジションを解消する動きが進行しており、ユーロドルは1.33台半ばのストップロスを巻き込み1.35台を窺わせるほど急ピッチの上昇が続いている。また、ドル円も再び80円を割り込むなどドル全面安の状況になっている。
一方、EU欧州委員会は、ユーロ圏および欧州連合(EU)諸国の最新経済予測を発表し、2012年のユーロ圏経済成長率(GDP)がマイナス0.3%になるとの見通しを示し、前回予測のプラス0.5%から下方修正されている。また、欧州の大手銀行各社が発表した決算では、ギリシャ債務危機に絡む評価損が業績を圧迫している見通しを発表、欧州各銀は既にギリシャ国債や同国向け融資に関連して多額の損失を計上しているが、ユーロ圏財務相が合意した債務交換計画では、民間債権者の実質的な負担は74%に達する見通しを示唆している。また、将来の損失に備えて6月末までに資本を増強する必要もあるが、景気がさらに悪化すれば達成が困難になるとも苦言を呈しており、ユーロ債務危機の最悪期を脱したとは言い難いのが現状であろう。
いずれにしても、ドイツの景況感指数の改善や米金利の低下を手掛かりにユーロ買い・ドル売りが優勢にはなっているが、どこまでユーロの買い戻しが継続されるかは懐疑的な相場環境である。
その他では、オーストラリア準備銀行(RBA)のスティーブンス総裁が最近の通貨高は少しおかしいと指摘する中、決して為替介入をしないとは言っていないと言及しているが、日米欧との金利格差の優位性からキャリートレードの対象通貨になっている以上、下値懸念は更に希薄になっている。