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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

円売り志向強まる!ドル円80円台では一旦清算局面?(ペットでも判る簡単チャート)

EU財務相会合において、ギリシャ支援は合意を得たものの、ギリシャが緊縮策を実施
できるのかが焦点になっている。欧州中銀ECBや各国中銀が協力体制を敷き、ギリシャ国債保有に伴う利益を放棄してまでユーロ圏の債務危機を乗り越える方針であるが、依然として、ギリシャの財政再建への疑念が強く、EU自らギリシャに常駐して、監視体制を強化する事態となり、相対的に、ユーロを積極的に買い戻す動きは封じられている。既に、一部報道ではトロイカ調査団がギリシャの債務持続の可能性についての報告書が伝わっており、第2次支援策が予定通り進まず、公的債務が抑制不能な水準に陥る可能性が大きいと指摘しているが、同時に、年金カット及び賃金カットなどを背景に、ギリシャのデモ活動が更に激化する恐れがあり、現政権に対する政治的リスクに波及する可能性から、2次支援策が実施されたとしても、先行き懸念は依然として根強いのが現状であり、ユーロドルは合意後に1.33台を目指す展開になったが、同レベルではポジション解消売りが優先される中、相対的に上値の重さが意識されている。一方、ドル円は80円台を目前に足踏み状態が続いているが、米国債利回りが再び2%台まで上昇しており、日米金利格差を踏まえるとドル円の下値は限定的になっているが、反面、ドル売り要因の一つである原油価格が105ドル台へ上昇するなど、相対的に流動性資金の変化が生じているため、ドル円のみならず、ユーロドルもどちらにも振れやすい相場環境にあると言わざるを得ない。
いずれにしても、ユーロドルはギリシャ問題の進捗状況を確認しながらのポジションニングにならざるを得ないが、基本的にはユーロの戻り売りを軸として戦略性を高めることが望ましいだろう。そして、ドル円は円売り志向が強まっている関係上、下値は限定的ではあるが、ユーロ債務危機が名目上でも回避される見通しが立つまでは80円台が重石となり、当面、ドル円80円前後での膠着相場になる可能性が高いだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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