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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円78台への足固め!ユーロ1.3000割れも視野?


序盤、2月の独景気期待指数はプラス5.4と、前月のマイナス21.6から大幅に改善したことからユーロドルは底堅い状況にあったが、その後、ギリシャが緊縮法案に合意し、議会も通過しているにもかかわらず、ギリシャ側からEU、IMFに提出する緊縮策実施の確約書の必要書類が整っていないとの旨が伝えられ、本日予定されていたユーロ圏財務相会合が、急遽、電話会議に変更されたことが嫌気される中、ユーロドルは下落基調を強めている。緊縮策実施の確約書に与党民主社会党党首のパパンドレウ前首相は署名をしたが、連立を組んでいる新民主主義党(ND)のサマラス党首はまだ署名をしていないと伝えられている。また、バイトマン独連銀総裁が「ギリシャ債務減免への中銀の参加を拒否」と発言した事でギリシャ支援実施への不透明感が強まったことがユーロ売りを誘発させているが、その後、ギリシャ新民主主義党党首が緊縮策で書面に署名との報道を受けるなど情報が錯綜しており、ユーロは下げ幅を縮小している。その中、ユンケル・ユーログループ議長は改めて、ギリシャとトロイカの間で更にテクニカル的な作業を詰めなければならず、明日のユーロ圏財務相会合は電話会議になり、実質的なユーロ圏財務相会合は20日に先送りされている。
一方、オランダ財務相はギリシャへの第2次支援について、1300億ユーロ以上の拠出には反対との見解を示すなど、ギリシャ政府に対する不信感の表れであろうが、たとえ緊縮案が成功裏に終わったとしても、実効性及び持続性には乏しいとの見解は少なくない。その他では、欧州委員会はスペインのラホイ政権が3月の地方選挙を前に財政緊縮措置の導入を延期したことに関連し、5月までに同国に対し制裁を課す可能性があると報じられるなど、ユーロ債務危機に関する収束感は一向に進展していない。
他方、ドル円は、日銀は昨日資産買い入れ基金の増額による追加金融緩和を決定したが、その後、白川日銀総裁がデフレ脱却に向けて、消費者物価上昇率が1%になるまでは金融緩和の持続性を強調する中、国債の買い入れ枠を10兆円拡大するなど、政府・日銀のインフレ目標を前面的に打ち出されたことが好感され、円売り志向が強まっている。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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