外国為替取引ニュースサイト

  1. トップページ
  2. >コラム・レポート
  3. >鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー
  4. >ギリシャ⇔破綻国へのいばらの道?

コラム & レポート

バックナンバー

鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ギリシャ⇔破綻国へのいばらの道?

連日のようにギリシャ債務危機を巡り、情報が錯綜する中、ギリシャ議会が欧州連合(EU)・国際通貨基金(IMF)からの第2次支援を得るために必要な財政緊縮関連法案を可決したことを受けて、一時的にユーロの買い戻しが優先されてはいるが、米格付け会社ムーディーズが欧州6カ国の格下げを発表、また、格付け会社のフィッチやS&Pがスペインの金融機関の格下げを発表ことなどが嫌気され、ユーロの戻り売りが優先されている。ユーロドルは1.31ドル台半ば近辺、そして、ユーロ円は102円前後へそれぞれ下落するなど上値の重い展開を強いられている。
一方、パパデモス首相の連立政権は、明日予定されているユーロ圏財務相会合までに3億2500万ユーロの削減について具体的な方法を報告することになっているが、一度限りではなく、恒久的な歳出削減が条件になっているため、依然として、ギリシャ政府の対応に懐疑的な見方が先行している。その上、財政緊縮措置に対する抗議行動がギリシャ全土に拡大しているため、ギリシャが第2次支援を獲得できるまではユーロ−を積極的に買い戻す状況には至っていない。また、今月下旬に予定されるドイツ議会のギリシャ支援を巡る採決までは依然として不透明感が強いことが指摘されおり、ユーロの上昇余地は希薄になっている。
他方、オバマ米大統領が予算教書を議会に提出、12年度の財政赤字は1.3兆ドルでGDP比8.5%と4年連続で1兆ドルを突破し、そして、13年度は9010億ドルまで縮小、GDP比5.5%を見込んでいるが、依然として高水準である事には変わりがなく、先に米連邦順備理事会(FRB)が異例の超低金利政策を2014年半ばまで継続する方針を裏けた格好とも解釈できる。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

ニュースクラウド