輸出依存⇔輸入体質への競合!難解な円相場?
ギリシャの第2次支援の受け入れを巡り、同国政府高官が最終合意に向けた文書を準備していることが明らかにされたことを受けて、合意への期待感からユーロが全面的に買い戻されている。いずれにしても、3月20日に控える大量な国債償還を前に、ギリシャの連立与党協議は第2次支援の受け入れる以外に選択肢はないだろうが、より好条件での合意を目指している関係上、延期また延期の構造が続いている。とは言え、最終的には中核国である独仏の承認が必要であり、相対的に不透明さが残る合意になる可能性が高いだろう。反面、オランダ首相はギリシャが無秩序なデフォルト(債務不履行)に陥り、ギリシャがユーロを離脱したとしても、他のユーロ圏諸国は衝撃を乗り越えるだろうと言及しているが、早期のギリシャ離脱がユーロ経済の不透明感を払しょくさせるとの声は少なくないのも事実である。
一方、早朝に発表された本邦12月国際収支において、経常収支と貿易収支が予想より悪化したことを受けて円売り志向が強まっている。ドル円は昨日の覆面介入報道を背景に底堅い状況にはあるが、節目である77.00円のストップロスを巻き込み、円ロングを解消する動きが散見されている。そして、日経平均株価が9,000円台を回復すると共に、アジア主要株価指数の上げ幅が拡大したことを受けて、相対的にリスク選好姿勢が強まる中、クロス円全般にも円売りが波及している。
介入操作自体は短期的な円高阻止の役割を果たすが、統計的にも単独介入の限界があり、最終的には円高傾向に走る確率が高いだろう。しかしながら、輸出依存大国の日本経済が赤字国に転落するとなれば、必然的に円安志向が強まる事は否めず、皮肉にも日本経済の低迷が円売り介入操作よりも効果的と言わざるを得ないだろう。既に、2012年度も日本大震災の影響により、原発依存の体質が変わっている以上、今後も貿易収支の悪化が見込まれている。その意味合いでは、輸出依存と輸入依存の競合性が問われるだけに、円相場の難易度が更に増しつつある。