ドル・ユーロ・円⇔難解な三つ巴の相場展開?
米12月新築住宅販売件数が4カ月ぶりに予想を下回り、米経済回復への懸念が意識される中、昨日発表されたFOMCのゼロ金利政策の長期化にもかかわらず、米主要株価指数がマイナス圏へ転じたことを受けて、相対的にリスク回避姿勢が強まり、再び、市場はドル買い・円買いに傾斜している。その中、ユーロドルは1.32台までは届かず、戻り売りに圧された格好で1.31割れまで反落、そして、クロス円も利益確定売りを伴い終始軟調に推移している。
一方、EU筋側からは1月30日に予定されているEU首脳会議に向けて、ギリシャの債務交換に関して協議する必要はないと報じられているが、ギリシャ政府筋によると、民間債権団との債務交換協議は、本日も継続協議すると言及している。依然として、債務交換を巡り難航が予想されており、進捗状況は進展しておらず、むしろ硬化しているとの見方が大勢を占めている。一応、ギリシャのデフォルト(債務不履行)は回避される見通しではあるが、債務交換をめぐる交渉が長引くとの懸念が先行している以上、当面、これらの結着を見るまでユーロを積極的に買い戻す動きは後退していると言わざるを得ない。
他方、世界経済の下振れリスクを背景に伴い、FOMCは超低金利政策の長期化を余儀なくされる中、バーナンキ議長はFOMC後の記者会見で、債券を追加購入する選択肢は今も「机上にある」と発言しているが、同時に、ユーロの信任性低下に伴う安全資産への逃避が一段進む可能性があり、また、米雇用の改善動向次第では更なる追加金融緩和策を講じなければならず、米国経済がデフレ防止対策に費やす可能性が強まっている。日本政府と同様にFOMCの金融政策の行き詰まりが表面化すれば、株や商品市場への影響は測り知れないだけに、市場はユーロ売りかドル売りかの判断に苦慮しているのが現状と言えるだろう。それ故に、欧米経済の低迷による消去法的な円買い志向が強まる可能性があるが、同時に、過度な円高局面ともなれば、日本経済の失速に繋がるだけに、円も積極的に買いづらい側面があり、三つ巴の相場環境にあると言うのが正解かもしれない。