貿易赤字国へ転落!ジワジワと円売りに傾斜?
ギリシャ債務交換協議に関して、ギリシャ政府報道官は、今週中にも民間債権団との債務交換協議の決着を目指すと言及している一方、欧州中銀(ECB)は保有するギリャ債の損失受け入れを拒否する旨の指針が伝えられるなど、様々な情報が錯綜する中、総じて、民間債権者との協議が難航するとの観測が強まり、欧州主要株式指数が軟調に推移し、これを受けて、一時ユーロを中心に米ドル買いが優勢となり、ユーロドルは1.29台前半まで軟化、そして、ドル円も日本の2011年の日本の貿易収支が31年ぶりに赤字に転落したことを受けて、日本が債券国から債務国へ転落するとの一部報道なども手伝い、78円台前半まで上昇したものの、その後、米FOMCの声明において、少なくとも2014年末までは政策金利を異例な低水準を維持するとの内容が報じられたことを受けて、市場は一転して、ドル売りへ傾斜、ドル円は77円台半ばへ反落する一方、ユーロドルは1.31ドル台前半まで上昇するなど、市場は神経質な展開を強いられている。また、チャートやファンダメンタルズ分析では通用しない相場形態となっており、当面、リスクの軽減を含めて、直近のレンジ幅で少なめの売買で対応する事が賢明であろう。
穿った見方になるが、本邦では、貿易収支の赤字は東日本大震災の影響によるところが多いとされているが、一方、海外勢からは、欧米経済の衰退と共に、アジアとの競合に窮している日本経済の現状を踏まえると、本邦の輸入増・輸出減は確実視されているため、今後も赤字計上を余儀なくされるとの見方が優先されており、じわじわと円売りが加速する可能性が強まるだろう。皮肉ではあるが、円高相場を阻止するには、政府・日銀の円売り介入操作よりも、貿易収支の悪化が円相場に寄与する公算が高いかもしれない。