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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ユーロショーカバー進行中!1.29台乗せは微妙?

欧州債務危機を巡り、IMFの資金拡充が難航するとの観測が広がる中、IMFが融資能力を1兆ドル規模に拡大を検討し、来月のG20に提案するとの観測が報じられたことを受けて、ユーロの買い戻しが急がれている。そして、国際金融協会(IIF)はギリシャ政府との債務交換協議を終え、明日にも合意に達するとの見通しも好感され、ユーロドルは節目である1.28ドル台半ばをクリアー、ユーロ円も98円台半ばへと連れ高現象を起こしている。
一方、株式市場においても、IMFの財源拡大を背景に、NYダウが上昇するなど、相的にリスク許容度が改善傾向を示したことから、市場はとりあえず膨大に積み上がったユーロショートを解消する動きが早まりつつある。
他方、フレアティ加財務相は、IMFの融資枠増強について、IMFは先進国を支援する構図はないと否定的な見解を示す中、欧州危機の対応は欧州内で収めるべきであり、また、先日のEU首脳会議でEUは2000億ドル規模の拠出を決めているが、米国と同様に欧州債務危機に対する支援策としては不十分と否定的な見解を示している。
その他では、救済基金である欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の格下げ問題が報じられた影響もあり、EFSFの資金調達難を踏まえて、欧州債務危機が更に悪化すれば、EFSF基金が枯渇するとの見方も浮上している。現時点においては、ユーロショートカバーの進行と共に、ユーロ売りは一段落しているが、ポジション解消買いが一巡すれば、再度ユーロ売りが加速する可能性が高いだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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