ユーロ反発の兆し希薄!ユーロドル1.25割れが視野に?
S&Pはユーロ圏の中核であるフランスを筆頭にし、欧州9カ国の長期債格下げを発表、キプロス、イタリア、ポルトガル、スペインを2段階引き下げ、また、オーストリア、マルタ、スロバキア、スロベニアを1段階引き下げるなど、ユーロ圏の格下げが激化る中、ユーロドルは1.28台後半から1.26割れ寸前まで低下、2010年8月以来の水準まで下落、また、ユーロ円は2000年12月以来の水準となる97.20近辺まで下げ幅を拡大するなど、改めて、ユーロ圏の深刻さが強調されている。
また、S&Pはユーロ圏が今年マイナス成長に陥る確率は40%で、最大で1.5%のマイナス成長になる可能性があると指摘。そして、フランスの財政状況が一段と悪化すればさらに格下げする可能性があるとの見方を示しており、今後もユーロ圏を巡る信認性の剥落を共に、トリプルAを維持しているドイツなどを含めた格下げ競争に繋がる可能性も浮上している。
一方、ギリシャの債務交換問題が難航する中、ユーロの離脱などを含めて、未だに流動的ではあるが、今回の格下げ問題により、欧州各金融機関の資金繰りが更に悪化することは確実であるため、ユーロ売りにさらに拍車がかかる可能性がある。いずれにしても、ユーロ買い材料が不在である以上、既にユーロドル1.25割れを視野にいれ、ユーロの戻り売りが市場のコンセンサスになっている。
現時点では、イランが原油輸送の生命線であるホルムズ海峡の封鎖に踏み切れば、世界的な原油供給の混乱を招くと共に、原油価格の高騰、そして、仮に米国が戦時体制にでも突入するようなことでもあれば、ドル売り材料として一考できるが、その可能性はかなり低いと言わざるを得ないだろう。