米ドル資金供給不足がテーマ!ドルショート自重局面?
日銀が発表した12月大企業製造業の業況判断DIがマイナス4(前回の9月調査比で6ポイント悪化)と2四半期ぶりに悪化に転じ、また、先行きの3月予測はマイナス5と3四半期ぶりに悪化したことを受けて、一時円売りが優勢になったが、数値自体がユーロ経済の落ち込みが、すべて含まれていない側面があるため、景気先行指数の悪化を危惧した恰好で、日経平均株価が続落、また、中国上海総合指数の下げ幅が拡大したことから、リスク回避による円買い志向は根強く、ドル円相場は終始78円前後でもみ合い相場と化している。
一方、本邦の市場関係者からは、より強力な円高対策や成長戦略の推進を求める声は少なくないが、ユーロ経済の低迷と共に、米中の外部環境の悪化の壁に封じられているため、安全資産と称される円買いに集中し易い状況にある。
他方、ドルの供給不足懸念が拡大する中、足早にドイツや日本の国債利回りが上昇、また、「安全資産」と受け止められていた金価格が急落するなど、市場はとりあえず、ドル資金調達を含め、万が一のリスクに備えて、ドルの余剰資金確保に乗り出しているとも解釈できる。
為替市場においては、既に、各国とのドル・スワップ協定は合意されているが、中央銀行主導の枠組みであるため、スワップ取引自体にも限界が生じる可能性があり、欧米金融機関の選択肢は少なく、とりあえず、ドルへの資金シフトを急いでいる状況にある。いずれにしても、今後もドル買い志向が更に強まる可能性があり、ユーロドルの年初来安値である1.28ドル半ば前後が視野に入っても何ら不思議ではないが、当面、リスク軽減の意味を踏まえて、ユーロドルの戻り売りに執着した方が得策であろう。