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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ユーロ急ピッチの下落に危機感と違和感!ストップロス配置で急反発期待も一考?


ユーロ圏諸国に対する格下げ懸念が高まる中、序盤はスペインやベルギー国債、そして、欧州金融安定基金(EFSF)債の入札が順調に消化されていたが、その後、メルケル独首相が「欧州安定メカニズム(ESM)の上限5000億ユーロから拡大することを拒否した」と発言したこと等が伝わったことを受けユーロ売りに拍車がかかり、ユーロドルは1月以来の安値水準である1.30ドル台前半まで急落、1.300割れが時間の問題になっている。
一方、債券市場においても、イタリア国債利回りが再び上昇しており、本日の5年債入札や明日のスペイン長期債入札の成り行きが懸念されている。その中、米国債10年物利回りは再度2%割れへとリスク回避の動きが強まり、年末越えのドルの供給不足を補う形で米国債「米ドル」への逃避が鮮明になりつつある。
他方、欧州連合(EU)はEU首脳会議がまとめた欧州債務危機への対策を審議する中、ァンロンパイ大統領はESMの融資能力の見直しについて検討、来年3月1〜2日のEU首脳会議で協議、また、ユーロ共同債発行に関しても検討する意向を表明しているが、反面、先に英国がEU基本条約改正に反対しているように、ドイツ政府が自ら他国の不良債務を負う格好では合意に達する可能性は低く、今後EU圏の二極化が更に進めば、ギリシャのユーロ離脱も含めて、ユーロ加盟国の再編問題にも発展しかねない状況である。
その他では、銀行間取引においも、欧州系金融機関の信用不安が急速に拡大する中、ドル資金の調達難が広がる中、ドルスワップ取引自体が減少傾向にあるため、資本取引とは言え、ドル売りを控える動きが日増しに強まっている。それ故に、年越えの資金に目処がつくまではドルが堅調に推移する可能性が高く、また、付随的には円も対ドルを除けば、相対的に円買い志向が強まる傾向は否定できないだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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