ユーロ一色即発ムード顕在化!難解も戻り売り優先?
市場は欧州連合(EU)首脳会議を控え緊張度が強まる中、ユンケル・ユーログループ議長EU首脳会議では多数の解決策が提案され、確固たる策を提案しなければならないと述べている一方、ドイツ政府高官が多くの参加者が事態の重大さを依然として認識していないと指摘している。EFSFとESMの並行運用は想定できない、ドイツはEFSFへ銀行免許を付与することを拒否、EU首脳会議でIMFの役割を討議するが決定しない可能性はある。そして、ユーロ圏共同債の発行は債務危機の解決にはならず、むしろ一層悪化させるとし、独政府の悲観的な見解を示している。これらを嫌気して、安定的推移していたイタリア・スペインの国債利回りが上昇に転じるなど予断を許せない状況が続いている。
一方、IMFの現在の融資余力は4,000億ドル強とされているが、欧州債務危機の拡大阻止に向けて、日米欧を中心にIMFを通じて6000億ドル規模のユーロ圏への融資プログラムを検討、G20は実質1兆ドルを超える予備的な資金支援枠を確保することが報じられ、ユーロドルは一時1.33台半ば近辺まで弱含んでいたが、1.34台まで回復基調を示している。
他方、独仏は欧州安定化メカニズム(ESM)の5000億ユーロの上限を巡り依然対立していると伝えられる中、依然として、独仏がユーロ共同債に反対意向を示している以上、ECBはユーロ圏の財政規律強化に向けて協調姿勢をより強めざるを得ないだろうが、ユーロの存亡の危機とも言える状況下では、好材料が浮上したとしても、上値は限定的と判断するのが順当であろう。
いずれにしても、ユーロ危機回避に向けては期待と失望感が渦巻く中、ユーロドルは一触即発の相場環境にあることには変わりがなく、引き続き戻り売りを優先した戦略性が求められる。