ユーロ手探りの上昇局面!1.35台が重石?
欧州債務危機を巡って金融市場が混沌とする中、昨日実施されたスペインとフランスの国債入札が無難に消化されたことを受けて、イタリア10年物国債が危険水域7%を下回り、資金調達懸念は若干後退したことから、ユーロは下げ止まりの様相を見せている。しかしながら、メルケル独首相がユーロ圏共同債の発行とECBの役割拡大について改め否定するなど、ユーロ債務危機の進捗状況の深刻化は避けられない状況にあり、ユーロの重石になっている。
一方、IMFが世界経済の見通しはダウンサイドリスクが増しているとの見通しを示したことから米欧株式市場は相対的に調整売りが随所に見られ、リスク選考型のマーケットと化しているため、市場のコンセンサスは再び安全資産である米ドルや円を買い戻す動きが優勢になっている。
他方、先の主要国中央銀行のドル資金供給は欧州財政問題の根本的な改善策ではなく、一時的な時間稼ぎとの見方が先行する中、直面しているユーロ債務危機打開策にはドイツの協調なしでは進展は不可能な状況にある。最終的には。ドイツ政府が財政規律の強化などを条件に不本意な妥協案に合意するしか選択肢はないのであろうが、安易な妥協案では、逆にドイツ財政悪化と共に独経済自体を揺るがす可能性がある。穿った見方をすれば、ユーロ崩壊にもなりかねないかもしれない。
その他では、本日米国では11月雇用統計が予定されているが、現時点では、失業率は前月に続き9.0%の見通しであるが、先に発表された米11月ADP全国雇用者数が20.6万人の大幅増となっているだけに、非農業部門雇用者数に対する改善期待が増している。事前予想では12.5万人増と前回(8.0万人増)から改善される見通しであるが、市場の関心はユーロ債務危機問題に集中しており、ADPの数値でもある20万人増越えでもなければ、市場へのインパクトは限定的と言わざるを得ないだろう。