外国為替取引ニュースサイト

  1. トップページ
  2. >コラム・レポート
  3. >鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー
  4. >円高の嵐も一服感、雪解けを待ってからか?

コラム & レポート

バックナンバー

鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

円高の嵐も一服感、雪解けを待ってからか?

某テクニカル分析によれば、一目均衡表、MACD、月足の長期トレンド、そしてシステム売買も円高予測を示しているそうだが、すでに円高のピークは過ぎていることも忘れてはならない。一方ではオシレーター系のRSI,やストキャスティックは米ドルの売られすぎを示していると思われるが、相対的にはテクニカル分析の特性でもあるが、後付けチャート特有の症状が現れているとも言える。右向け→右の円高状態ではちょっとばかり嫌な予感がするのだが。
●スノー米財務長官の先週の発言が波紋呼んでいるように、捉えかたによっては米ドルの急落をも促進することになる。先週の中国当局が発表した外貨準備高の牽制を意識した上での発言であるにせよ、米ドルの上値を押さえるには充分な発言とも思われる。裏を返せば、金利格差による米ドル高の終焉とも言えるのかもしれないが、今後はFRB議長の交代と共に双子の赤字削減がメインテーマになることも必死であり、2005年度は日本経済の復活を促した円安基調の連続とも言える一年であったが、2006年度は米金利の打ち止めを目前にして、円高シナリオの出番が近いとも言える。
中国のみならず、中東筋も含めて各国の中銀も外貨準備高のリスクを抱き始めていることは間違いなく、BRICsの台頭と共に米国主導の世界経済が確実に変化している現れでもある。
いずれにしても、米国の双子の赤字削減に向かって前進するには、一番手っ取り早い手段が米ドル安という構図には変わりがなく、日欧の景況感が増してくれば、米ドル安が自然現象的に発生してくることを配慮してもよいだろう。
一方では、ブッシュ政権は米ドル離れを阻止しながら、強いアメリカ経済を維持し、そして貿易不均衡解消のためにも、再び米ドル安の演出を急ぐ必要もあり、為替相場の難
易度が更に高まることも忘れてはならない。
●今週の指標は、米ドル離れが促進するかを見極めるためにも対米投資に注目してみたい。即座に対米投資の落ち込みはないであろうが、財政赤字を賄い切れる対米投資に変化が生じれば、米ドル離れが加速する可能性も秘めているだけに注意を払いたい。基本的な米ドルショートの本線は変わりがないが、すでに昨年末より6円以上の円高が進んでおり、円高テンポは遅くなることは否めず、米ドルに好材料でもあれば115円から115円台半ばまでの戻りは警戒すべきであるが、115円台の上値の重さを再度確認する局面となると判断して、115円前後の売りを推奨する。ユーロドルにも同様なことが言えるが、1.2000の底堅さを認識した以上は1.20台半ばの買いであればリスクも限定的と思われる。

********今週のペットでも判る簡単チャートSummary********
*作成年月日 2006年1月14日(土)
*ペットチャートでは円高進んだことにより、乖離幅がほぼ全通貨に対して標準レベル達しつつある。一般的には米ドルの弱さが目立つのが現状であろうが、本ペットチャートによれば、相場の歪みが矯正された段階と判断する。
▲ドル円 
すでに急落『円高』局面だけに、現状114円台前半からの更なる円高は摸索する局面で
ある。チャート上ではドル円112.50とユーロドルの1.2250が最終目標となるが、現状からの円高期待のドル円売りは少な目の売りに徹することを勧める。まだ強いシグナルはなく、分散投資の意味合いも込めて、小額スタートを勧める。
基本的には様子見段階である。
▲ユーロドル(『ドル円−ユーロ円』平均基準乖離幅25円 現状乖離幅24.45円)
1.2140レベルで弱めの売りシグナルは点灯しているが、基本は様子見レベルのため
乖離幅の拡大及び縮小を待ってからの始動に徹したい。
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅28円)
先週は0.7339の買いから0.7540では売りシグナルでポジション解消後、現状の乖離幅も28円であり、0.7550では様子見段階。
▲NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅33円 現状乖離34.40円)
昨年度から買い継続中、今年度も0.6830から買い継続中ではあるが0.70台になれば閉じる局面近し。
▲カナダドル(ドル円−カナダ円 平均基準乖離幅18円 現状乖離幅15.80円)様子見が続いていたが、現状1.1604から買いシグナル点灯中
▲ ポンド(ドル円x2−£円 平均乖基準離幅25円 現状乖離幅25.30円)
年初の1.7225の買いから、先週末に1.7702の売りで解消段階であり、今現在も様子見ではあるが、現状レベル1.7760の売りであれば、リスクも限定的である。
▲スイスフラン(ドル円−スイス円 平均基準乖離幅23円 現状乖離幅24.80円) 
先週は1.3138の売りを1.2702で買いレベルでポジション解消となったかが、現状では1.2771レベルで買いシグナルが弱めで点灯、少なめの始動を勧める。
▲豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅6.50円)現状乖離幅6.40円
最近の経緯4.25円→5.75円→6.20円→6.45円→7.20⇒6.40様子見へ。
▲単純加算方式 ドル円+ユーロ円の推移 現状114.30+138.75=253.05円
昨年度の円安でドル円120.65+ユーロ円142.50=263.15円まで拡大したが、円高により、現在レベルまで進行250円割れと255円以上が当面の目安となる。
*http://kentish.fc2web.com 新外為の森 
*http://kentish.fc2web.com/products.htm チャート参照
★本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの
始動をお願いいたします。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
★************************************


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

ニュースクラウド