ユーロ売り・ドル売り混在中!円膠着継続中
海外市場の序盤では米経済指標結果が予想を上回ったことが好感され、一時的に米ドル売りが優勢になっていたが、潜在的なユーロ圏債務危機への警戒感の高まりと共に、ユーロはじり安の展開を強いられている。
一方、債券市場ではドイツ債を除く、欧州債が軒並み下落「利回り上昇」傾向が続いており、財政危機の長期化に伴いリスク選考型のマーケットと化している。一部報道では最終的には中核国であるフランス債のみならず、トリプルA格のオランダ、オーストリア、ベルギー債まで波及しつつあり、最終的にはドイツ国債まで欧州ソブリン・リスクの影響を受けるのではないかとの疑念が生じている。また、ユンケル・ユーログループ議長はドイツ紙のインタビューを通じて、ドイツの財政赤字水準はスペインのそれよりも高く、懸念を持っていると指摘した上、仮に、ギリシャがユーロ離脱という事態になれば、悲惨なシナリオが描かれるだろうと警告するなど、ユーロの更なる下落を想定せざるを得ない相場環境にある。
他方、為替市場では対ユーロを中心に米ドル買い・円買いが進行する中、ユーロドルは1.35ドル台半ばから1.34ドル台半ばまで下落しているが、格付け会社フィッチは欧州債務問題が更に拡大すれば米銀への悪影響は避けられず、格付け見通しを脅かす可能性を指摘するなど、米ドル自体にも下落リスクが生じており、同時に、米経済の減速懸念が強まっているため、米政府当局はTPP問題「関税撤廃」を絡めて、ドル安志向は依然として根強く、過度なドル買いにも限界が垣間見られる状況である。
その中、ドル円相場は介入警戒感とリスク回避の円買いに挟まれ、身動きが取れない状態が続いており、77円前後の攻防が顕在化しつつあるが、シナリオ的には、日銀が再介入を実施したとしても、前回と同様に、75円割れを回避する手段であり、おそらく、76円前後で実施される可能性は高いだろうが、反発も限定的であり、上値は78円台半ばまでが精一杯であろう。