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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ユーロ狼狽的売り加速!もう一段の下落後の反発に要注意?

欧州の決済機関LCHクリアネットがイタリア国債の取引に必要な証拠金を引き上げたことを受けて、イタリアの債務危機が再燃する中、イタリア10年債利回りが一時7.4%まで急上昇、ユーロが加速的に売られている。
一方、一連の債務危機を背景にして、米経済のみならず、世界経済に対する先行き懸念が拡大したことを受けて、NYダウが金融株を中心に下げ幅を拡大、一時430ドル超安となり、各市場とものリスク回避姿勢が強まり、安全資産であるドルを買い戻す動きが加わり、ユーロドルは1.38台半ばから1.35台前半まで300bpts以上急落している。
他方、ナポリターノ伊大統領がベルルスコーニ首相の辞任は疑いの余地がないと述べた上、議会を早期に解散し、総選挙を実施し、新政府に委ねる旨を示唆しており、イタリアの緊縮財政計画を睨んだ駆け引きが続いている。また、ユーロ圏関係筋の話として、ユーロ圏はイタリアに対する金融支援は、今現在計画しておらず、同時に予備的融資枠の提供も検討していないと報じられており、ユーロ債務危機は完全にギリシャからイタリアに引き継がれた格好と言える。しかしながら、ギリシャの債務問題は欧州圏内にとどまっている感が強いが、イタリアの債務問題は欧州圏のみならず、世界各国の投資対象となっている関係上、各金融機関並びに投資家などからは、イタリア関連のエクスポージャーを安全資産にシフトする機運が高まっているため、イタリア債券の急落はユーロロングを解消する動きに繋がっている。市場では既に、ユーロドルは1.35割れも含めて、年内には1.300割れまであり得るとの見解が浮上するなど、ユーロの上値の重さが意識されているが、反面、米国経済にも景気減速の波が押し寄せており、一方的なユーロ売りと判断するのが時期尚早であろう。繰り返しになるが、あくまでも、ユーロの戻り売りに比重を置いて、リスクの軽減に努めるのが賢明であろう。





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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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